研究課題
最終年度は3年間の研究期間で得られた研究成果の総括及び学会発表を行った。研究期間全体で、(1)脂肪酸の二重結合の位置を同定する新しい手法の開発に関する論文(Analytical Chemistry 2017、共同研究者のロバート・マーフィー教授がファーストオーサー、研究代表者がセカンドオーサー) と、(2)脂肪酸飢餓時にリン脂質がリモデリングされ、細胞刺激時に産生する脂質メディエーターに質的変化を与えることに関する論文(Journal of Lipid Research 2018、研究代表者がファーストオーサー、共同研究者のロバート・マーフィー教授がラストオーサー)を公表した。(1)の研究成果はすでに17回引用され、非常に注目されている。従来のリピドミクスでは脂肪酸の炭素数や二重結合の数までが解析対象であったが、二重結合の位置が脂質の化学的性質や生物学的な機能に影響を与えることが明らかになっている。そのため、本研究で開発したパターノ・ブーチ反応を用いた簡便な脂肪酸の二重結合同定手法は重要な意義を有していると考えられる。また(2)の研究成果は引用回数こそ少ないが、栄養飢餓時や近年流行している健康食やダイエット食による必須脂肪酸飢餓時にミード酸と称されるω9の20:3脂肪酸が産生されることと関連している。したがって、これらの環境下では産生されるエイコサノイドが質的に変化するため、免疫・炎症応答にも変化をもたらすことが示唆され、生理的意義に関する十分な検討が今後必要である。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 2件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 5件) 備考 (1件)
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