本年度は渡航先との調整を中心に行った。渡航先は申請時と同じ英国ロンドンのKings College内にあるCicely Saunders Institute (CSI)である。国際共同研究を予定している主たる共同研究者として申請したIrean Higginson教授から渡航の許可を得た。 研究機関の名称にもなっているCicely Sauders氏は近代ホスピスの祖と言われ、現在の緩和医療の方法論を英国で確立した人物である。CSIは英国における緩和医療の研究・教育機関として欧州を中心に世界中からの多くの研究者や留学生を受け入れている。CSIのホームページを上に示すが、この集合写真に示されるように常勤として欧州を中心とした多国籍の40人程度の研究者が勤務し、そこに留学生などが加わり10のユニットで巨大な研究・教育機関を構成している。教育機関としての活動もあり、多くの講義やセミナーが実施されている。もちろん研究者用の机やコンピュータなども整備されており、文献データベースなど緩和委医療の研究に必要なものは全て用意されている。 渡航先との交渉で渡航開始時期が2017年8月に決定した。また先方の研究上のメンターがEvans教授とGao教授となることが決定した。Skype会議を行い今後の研究の方向性について相談している。研究内容の当方の希望は世界的に最先端の知見をもとにした遺族調査のプロトコルを執筆し、実際に日本で遺族調査を行うことである。英国の調査票をBack-translation法で妥当性がある日本語版を作成し、英国と同じ調査票を用いた遺族調査を実施することなどであり、この実施可能性を検討中である。少なくとも2018年以降に日本で2つの遺族調査が行われ、申請者が関与することが確定しているのでそれに反映させたい。渡航に向けて学内の調整もほぼ終了し、代用教員も確保した。現在は研究内容の詳細について詰めるとともに渡航準備を行っている。
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