研究実績の概要 |
2017年9月27日~2018年3月31日まで英国King’s College London, Cicely Saunders Instituteに渡航し、国際共同研究活動を実施した。渡航の主たる目的は緩和ケアの質評価に関する共同研究であり、特に世界最先端の実績を有する遺族調査に関する共同研究である。 遺族調査に関しては渡航先機関で過去に実施された3つの遺族調査のデータの二次解析を行った。内容はがんおよび非がん患者の終末期医療の実態把握と死亡前の症状やケアに対する満足度の関連要因の検討である。解析は終了し、現在、論文投稿の準備中である。また、英国政府が実施している死亡小票に基づく遺族調査の調査票であるVOICES-SFの日本語への翻訳を実施した。翻訳した調査票は2018年度に日本で実施予定の遺族調査に用いる予定である。本調査票を用いて遺族調査を行うことで、同様の調査票を使用してすでに調査が行われている英国、イタリア、他の欧州諸国のデータと直接的に比較研究を実施することが可能であり、その共同研究の調整中である。また、英国政府の遺族調査関係者を訪問し、英国における実施状況や問題点、課題などについて情報収集した。日本における死亡小票をもとにした遺族調査は国立がん研究センターで2017年度にパイロットスタディを実施したが、今回の渡英による情報収集の結果を反映できたと考えている。 遺族調査以外の緩和ケアの質評価に関しても、NHS、Hospice UKなどの質評価に関わる機関やLiverpool University, Sheffield University, Lancaster Universityなどの研究者やSt Christopher’s Hospiceなどの医療機関を訪問し、情報収集や議論を行った。Cicely Saunders Instituteをはじめ、これらの機関や研究者とすでにいくつかの国際共同研究に着手しており、今後も新たな課題を検討中である。
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