研究実績の概要 |
2017年9月27日~2018年3月31日まで英国King’s College London, Cicely Saunders Instituteに渡航し、国際共同研究活動を実施した。渡航の主たる目的は緩和ケアの質評価に関する共同研究であり、特に世界最先端の実績を有する遺族調査に関する共同研究である。 遺族調査に関しては渡航先機関で過去に実施された3つの遺族調査のデータの二次解析を行った。内容はがんおよび非がん患者の終末期医療の実態把握と死亡前の症状やケアに対する満足度の関連要因の検討である。この結果は2019年のEAPC(欧州緩和ケア学会)で発表した。 また、英国政府の遺族調査関係者を訪問し、英国における実施状況や問題点、課題などについて情報収集した。この情報収集の結果は国立がん研究センターで2017年に実施したわが国初の死亡小票を利用した遺族調査のパイロット調査に反映させた。2018年度にはこのパイロット調査のデータ分析がなされ、2019年に5万人を対象とした遺族調査が実施され、2020年に5万人とした追加調査がなされた。 英国政府が実施している死亡小票に基づく遺族調査の調査票であるVOICES-SFの日本語への翻訳し、それを用いた遺族調査を実施した。これは前述の死亡小票による遺族調査とは別にJ-HOPE4研究の一部として実施され、2019年3月までに500名程度から回答を得た。この調査の結果を分析し、英国で公表されているデータと比較検討した。 そのほかにもCicely Saunders Instituteとの共同研究をすすめており、特にIPOS(Integrated Palliative care Outcome Scale)に関しては、日本語版のホームページ及びマニュアルの作成を終え、認知症バージョンの作成、非がん患者における信頼性・妥当性検討などを開始している。
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