研究課題
アレルギーは、好酸球と呼ばれる白血球を主体とした炎症が病態を形成する上で重要な役割を果たしている。この中でも難治性の好酸球性炎症疾患の存在が世界的な問題になっており、メカニズムの解明が急務である。好酸球は細胞内に組織傷害性の強い蛋白を含有した顆粒を多数有しており、その内容を放出することで炎症を引き起こすが、その中でも細胞崩壊を伴う脱顆粒のメカニズムは長年不明であった。我々はアメリカ・ハーバード大学のWellerらとともに好酸球の崩壊型脱顆粒のメカニズムが、自発的な非アポトーシス細胞死であるETosisであることをはじめて見いだしている。本研究は、国際共同研究としてWellerらとの連携をさらに発展させ、in vitroで好酸球の細胞死の運命を決定するメカニズムを詳細に明らかにするとともに、炎症組織におけるETosisを検出する汎用性のあるマーカー・評価法を開発し、病態との関連を明らかにしようとするものである。一連の研究から、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)では、実際の患者の炎症部位で好酸球のETosisが起こっていること、さらにアスペルギルスによる好酸球のETosis誘導機構を明らかにした。また、好酸球性中耳炎の患者には、共通して好酸球のETosisが生じていることを明らかにした。 好酸球性肺炎における好酸球の選択的集簇においてCCL4がオートクラインに作用している可能性を示し、好酸球性副鼻腔炎では血清のeotaxin-3が組織の好酸球性炎症を反映することを示した。シャルコー・ライデン結晶やgalectin-10はETosisの代替マーカーとなりうることを示した。これらの成果は国際誌へ報告され、将来的には既存の治療とは異なる「細胞死の評価と制御」という新しい戦略の基盤となるものと考えられる。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 3件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (17件) (うち国際学会 4件、 招待講演 9件) 備考 (2件)
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https://academist-cf.com/journal/?p=8810