本研究は基課題を発展させ、発癌関連遺伝子の転写調節を明らかにすることを目指し、腺様嚢胞癌に加えて扁平上皮癌を対象とした。特にヒトパピローマウイルス(HPV)によって引き起こされるHPV関連中咽頭癌は、患者数の増加が著しく、比較的若年者に生じることから、その克服が大きな課題となっている。本研究では腺様嚢胞癌とHPV関連中咽頭癌とを比較し、癌ゲノムにみられる遺伝子異常、エピゲノム異常の全体像を解明し、エピゲノム異常の標的が遺伝子転写開始点にあることを明らかにした。また、HPV関連中咽頭癌の中に、DNAメチル化が高度に生じる症例群を見出し、この群に特徴的なMyc経路の活性化があることも解明した。
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