研究課題/領域番号 |
15KK0337
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
加来 賢 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (30547542)
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研究期間 (年度) |
2016 – 2019
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キーワード | 神経堤細胞 / 蛍光プローブ / 組織幹細胞 / 細胞増殖 |
研究実績の概要 |
歯根膜は歯と歯槽骨の間に介在する膜状の非石灰化組織であり、咬合機能において重要な役割を果たしていることから、その維持/再生は本邦が目指す健康長寿実現のために欠かすことのできない課題のひとつである。 歯根膜の恒常性は、極めて早い組織の代謝回転によって維持されており、豊富な幹細胞の存在が重要な役割を果たしていると考えられているが、歯根膜組織中に存在する多様な構成細胞のそれぞれの局在を含めた詳細が不明であることが研究を困難とし、恒常性維持機構の解明と再生への道のりを阻んでいる。 歯根膜は発生学的には神経堤細胞に由来する歯原性間葉から分化すると考えられてきたが、我々は神経堤由来細胞の数が加齢とともに減少すること、さらに歯根膜の血管近傍に存在する幹細胞の一部は骨髄に由来し血行性に供給されることを明らかにしている。つまり歯根膜には、リモデリングの過程で血行性に供給される幹細胞が血管近傍では幹細胞としての特性を維持し、必要に応じて組織深部へと遊走し特定の歯根膜構成細胞へと分化する運命決定機構が存在することを示唆している。本研究課題では歯根膜組織中の増殖活性をFucci2マウス、さらに単一の組織幹細胞に由来する細胞クラスターをRGBow:UBC-CreERT2マウスを用いて検出した。リモデリング期における歯根膜組織の高い増殖活性は、硬組織から離れたPLEXUS領域に多く観察され、細胞クラスターの局在についても同様の傾向が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
細胞追跡においては想定よりも長期間の追跡が必要であたっため、現在長期追跡モデルの解析を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの結果から、リモデリング期における歯根膜組織の細胞増殖活性は極めて低いことがわかった。短期の追跡では細胞クラスターの検出が困難であり、現在、さらに長期の追跡スケジュールにて実験を行なっている。また追跡細胞の標識効率を向上させるために、組織上での検出方法についても改良を進めている。
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