研究課題
脊髄から脳への痒み特異的神経ネットワークを同定し、「痒み」と「痛み」の神経回路の共通点/相違点を明らかするために、H28年度は痒み伝達分子をターゲットとした遺伝子改変動物を用いた解析を行った。研究室で作出されたガストリン放出ペプチド(GRP)受容体遺伝子改変ラットはその蛍光シグナルを指標に、GRP受容体ニューロンの局在を解析できるが、GRP受容体発現が報告されている脳・脊髄の各領域において、蛍光シグナルを確認した。ジフテリア毒素を局所投与することによりGRP受容体発現ニューロンを時・空間特異的に破壊することができるため、今年度は、ジフテリア毒素投与の条件検討を実施し、毒素投与によるターゲット領域における蛍光シグナルの消失の確認を実施中である。また、三次元電子顕微鏡を用いて、痒みの伝達路である脊髄後角の神経ネットワーク解析を行い、痒みを伝達するシナプス構造の解析を実施した。
2: おおむね順調に進展している
痒み伝達分子をターゲットとした遺伝子改変動物を用いた組織学解析と毒素投与実験を開始することができ、今後、脊髄から脳への痒み特異的神経ネットワークを明らかにする上で、解析の基盤ができた。
今後は、GRP受容体遺伝子改変ラットを用いた毒素投与条件を確立させ、ターゲット領域のニューロンを時・空間特異的に破壊し、痒みの指標となる掻破行動解析と痛みの指標となる逃避行動解析を実施し、脊髄から脳への痒み特異的神経ネットワークの同定を行う。また、三次元電子顕微鏡を用いた痒みを伝達するシナプス構造解析を継続し、痒み特異的なシナプス構造の特徴を明らかにする。次年度から、海外研究機関で研究を実施し、形態学・行動薬理学・電気生理学解析を融合させ、痒みの伝達機構を明らかにする。
すべて 2017 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 備考 (1件)
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http://www.science.okayama-u.ac.jp/~rinkai/index.html