研究実績の概要 |
本国際共同研究の目的は、心筋肥大に対し細胞膜マイクロドメイン及びオートファジーの誘導がどのように関与するかを明らかにし、心不全の病態解明に寄与することである。そのため、申請者は心筋肥大がカベオラ・カベオリンの活性化によって抑制され、それらがオートファジーの誘導によって起こると仮説を立て、以下の実験を行った。 実験1.マウス in vivo 心肥大モデルを作成した。作成の方法は、マウスを麻酔下に大動脈弓を結紮狭窄する(TAC: transverse aortic constriction)ことで術後、約2週間で心肥大が認められ、4週間後には重度の心肥大、線維化、肺水腫モデルを作成することができた。 これらのマウスに対して、Kaplan-Meier曲線による生存率の調査、TAC施行4週間後マウスの心エコー(Sonos 5500, Philips Medical Systems)・心臓カテーテル(SPR-671, Millar Instruments)による心機能評価(心壁厚, ejection fraction, %fractional shortening, 左室圧, dP/dtmax, dP/dtmin等)、心臓や肺の重量測定などを行った。カベオリン-3過剰発現マウス・ノックアウトマウス、オートファジー誘導群・抑制群、各々の組み合わせ群においても同様の実験を行った結果、心肥大に対するカベオリン・オートファジーが影響影響を及ぼすことが示唆された。 また、実験2.として各群のマウスの摘出心を組織固定し、電子顕微鏡を使用してその細胞表面を観察、単位表面積あたりのカベオラの数をコントロール群との比較を行っている。
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