共同研究先のPrincipal Investigatorと渡航前までに本共同研究の目的と計画を十分にe-mailやSkypeで協議した結果、心血管内皮機能の改善及び腸内微生物叢の構成や活性に働く可能性のある新規の食物由来の低分子化合物を探索することを本研究の大きな目的とした。研究代表者が有する食物由来の低分子化合物の候補と共同研究先の低分子化合物ライブラリと照合した結果、柑橘類由来フラボノイド中から分離・同定したある特定の低分子化合物(m/z=300.085)など、数種類の低分子化合物の活性を共同研究先の研究機関で評価することにした。 これらの食物由来低分子化合物が血中にて検出されるか、液体クロマトグラフィー・時間飛行型質量分析装置(LC-TOFMS)で測定した。これらの精製品を野生型マウス(C57BL6)に経口投与すると、これら化合物のポジティブイオンが検出された。よって、これらの低分子化合物が腸内微生物細菌叢や慢性代謝性疾患、血管内皮機能に効果的か評価を行った。培養細胞モデル及び動物モデルを用いて生理活性を評価すると、これまでに2種類の化合物が概日リズム(Circadian Rhythm)を調整することで慢性代謝性疾患及び血管内皮機能の改善に働く可能性が示唆される結果が得られた。ある核内受容体がその化合物の標的分子である可能性を示す結果が得られており、今後はその同定を中心に解析を継続していく。
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