研究課題
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)
欧米の乳がん罹患率が低下している一方で、日本の乳がん患者数は増加を続けている。乳がんの治療成績を下げる大きなの要因は転移であるため、転移能を司る分子の機能解析は抗がん剤の標的分子を考える上でも重要なポイントである。本研究では乳がんで高い発現量を示し、細胞運動に重要な役割を果たすリン酸化酵素RSK2に関する研究を行なった。これによりRSK2が核と細胞質をシャトルすることを示すと共に、新たなRSK阻害化合物を同定した。また、乳がん患者由来の正常乳腺細胞の三次元培養を行なった。
分子生物学
乳がんの治療成績は他のがんと比べて比較的良好とされるが、転移した乳がんの治療は依然として難しく、転移を抑制できる化合物や、治療薬開発のための技術基盤は極めて重要である。本研究では化学合成したRSK阻害剤の特性を解析し、引き続き新規化合物の評価を続けている。また日本人の正常乳腺組織を使った三次元培養は我々の知る限りまだ報告がなく、将来的に薬の効果や副作用を確かめるために有用な実験系となることが期待できる。