研究課題
本研究では、ほぼ全てのがんを対象とした治療と診断を可能とする、がん組織へ高選択的に集積するセラノスティクス薬剤の開発を目指した。そこで、最もがん特異的なタンパク質の一つであるsurvivinを標的とした薬剤開発を試みた。本年度は、これまでに我々が開発したsurvivin標的ペプチドを母体化合物として、アミノ酸1~2置換体、非天然アミノ酸置換体、r4~r8誘導体を開発し、いくつかの化合物に関しては、これまでに開発したペプチド分子に匹敵する高親和性を示した。また、survivin結合分子を生体内で効率よくがん組織に到達させるため、カチオン性両親媒性ペプチド(CPPs)を開発し、リシン、アルギニン、ヒスチジンなどの塩基性アミノ酸とバリンなどの疎水性アミノ酸の繰り返し配列を有するペプチド分子を種々開発した。それらのペプチドの放射標識体や蛍光標識体を用いた検討を行った結果、いくつかのCPPsのがん指向性分子としての有用性が見出された。さらに、survivinを標的としたDDS薬剤への応用を目指し、マレイミドsurvivin標的ペプチドを創製した。現在様々な粒子径の金ナノ粒子への修飾と精製を種々検討中である。さらに、survivinが放射線抵抗因子の一つであることに着目し、survivin標的分子が放射線増感剤として機能しうるか検討したところ、survivin標的ペプチド(0.1~10 μM) をMIA-Paca-2細胞へ暴露24時間後にガンマ線照射装置にてCs-137を1-2Gy照射したところ、放射線増感剤としての効果がわずかながら確認された。今後は照射条件やペプチドの最適化、ナノ粒子の検討などを行っていく予定である。また、90Yなどの治療用放射性核種を導入した内用放射性薬剤への展開も現在検討中である。
すべて 2019 2018 2017
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (28件) (うち国際学会 5件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
Metallomics
巻: 10 ページ: 614~622
10.1039/C8MT00011E
Bioorganic & Medicinal Chemistry
巻: 26 ページ: 3111~3116
10.1016/j.bmc.2018.04.034
Journal of Labelled Compounds and Radiopharmaceuticals
巻: 61 ページ: 1095~1105
10.1002/jlcr.3691
Food Chemistry
巻: 269 ページ: 436~441
10.1016/j.foodchem.2018.07.033
BPB Reports
巻: 1 ページ: 40~46