研究実績の概要 |
灌流型3次元血液脳関門モデルの開発においては、ワシントン大学と協力し、platformを試作、直径30μmのコラーゲンチューブに内皮細胞を培養し、さらに周囲にペリサイトやアストロサイトも培養した上で灌流することに成功した。細胞培養及びbioengineeringに優れた米国NORTIS社と協力し、灌流型3次元血液脳関門モデルの実験を継続しておこなっている。我々が現在開発しているモデルは以下の特徴を有している。①コラーゲンマトリックス内に円柱状の内皮細胞を培養する完全な3Dモデル、②培養液を灌流することにより内皮細胞及び他の培養細胞にシェアストレスを再現、③コラーゲンマトリックス内も培養液を灌流させることにより、血管腔側だけでなく脳側の灌流液の解析も可能となり、脳内サイトカイン動態の把握も可能。また、二次元血液脳関門モデルでは、血液脳関門におけるサイトカイン動態を把握するための予備実験を行い、その過程において、TNF-alphaはpericyte/astrocyte由来、granulocyte colony-stimulating factorは内皮細胞由来、astrocyte/pericyte由来のIL-6, MCP-1, GM-CSFは脳側、血管側双方から検出されることを見出した。これはサイトカインを脳から血管側へ輸送するトランスポーターの存在を示唆する重要な事実であると考え、英文学術誌(JCBFM)に報告した。更にRho kinese inhibitorが血液脳関門に対し、保護的な役割を果たしていることを明らかにし、現在そのメカニズムを検証している。
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