研究実績の概要 |
灌流型3次元血液脳関門モデルの開発においては、試作したplatformに内皮細胞を培養し、さらに周囲にペリサイトやアストロサイトも培養した上で灌流することに成功している。しかし、内皮細胞においては不死化細胞での培養は可能であるが、初代培養細胞では、チューブへの接着が不安定であるため、コーティングの検討を行うとともに、新たな平面typeのモデルの開発にも着手している。新たに開発しているモデルは以下の特徴を有している。①培養液を灌流することにより内皮細胞及び他の培養細胞にシェアストレスを再現、②血管側・脳側ともに培養液を灌流させることにより、血管腔側だけでなく脳側の灌流液の解析も可能となり、脳内サイトカイン動態の把握も可能。 二次元血液脳関門モデルでは、血液脳関門におけるサイトカイン動態を把握するための予備実験を行い、その過程において、TNF-alphaはpericyte/astrocyte由来であり、granulocyte colony-stimulating factorは内皮細胞由来、astrocyte/pericyte由来のIL-6, MCP-1, GM-CSFは脳側、血管側双方から検出されることを見出した。これは脳から血管側へのトランスポーターの存在を示唆する重要な事実であると考え、英文学術誌の報告した(J Cereb Blood Flow Metab. 2018 Jun;38(6):1104-1118)。また、高血糖による血液脳関門障害モデルを作製し、スタチン及びカンデサルタンが拮抗的に働くことを見出し報告した(Biochem Biophys Res Commun. 2018 Sep 10;503(3):1885-1890)。
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