研究課題
本研究の目的は、難治性かつ希少癌である骨軟部腫瘍の生命予後の改善を目的として、治療成績向上の要となる腫瘍発生・悪性化・治療抵抗の原因因子を特定し、その結果に基づいた新規バイオマーカーや治療標的の開発を進める。本研究では (1) 基課題で進めている「骨軟部腫瘍の分子治療標的の開発」を米国内で 急速に発達している「がんクリニカルシークエンス(以下CCS)」の手法を用いて、希少癌データベースを構築して加速的に研究を促進し、早期の新規治療法の 開発を目指す。(2)更にその研究に付随し、現在米国で個別化医療の中心をなす、CCSシステムの国内導入を全がん的に臨床面・研究面より進めることで、(A)欧 米に遅れを取っている日本国内のCCSシステム確立による効率的な個別化医療、(B)その遺伝子データの効率的利用法の確立を推し進め、希少癌・全がん的生命予 後を改善する体制を目指す。具体的には、順天堂大学とMemorial Sloan-Kettering Cancer Center, NY, USA(以下、MSKがんセンター)が協力し、MSKがんセンター施設内にて申請者の末原 が(約1年間に渡り)渡米し研究を行い、現在も国内にて引き続き本研究を行っている。(1)MSKで開発されたCCS法 MSK-IMPACTを用いた希少癌データベースの解析を行った。その成果として骨肉腫の新規治療標的となる特定染色体部位の相互排他的共起遺伝子増幅を発見することに成功し、論文発表を行った。(2)実臨床・研究目的に優れたCCSシステムであるMSK-IMPACTシステム導入を国内(順天堂大学内)で行い、その臨床応用を加速した。 その成果として、軟部肉腫でNTRK1, ROS1, ALK, PDGFRA, FGFR1融合遺伝子を同定し、NTRKに関しては国内で初めて同定し、阻害剤治療を行い腫瘍縮小の奏効を認めた。
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