研究課題
遺伝性パーキンソン病の新規原因遺伝子であるcoiled-coil-helix-coiled-coil-helix domain containing 2 (CHCHD2) の遺伝子改変マウスを作出し、その適切な解析法を探るためCRISPR/Cas9システムで作成したCHCHD2ノックアウト細胞やCHCHD2変異陽性パーキンソン病患者から作成したiPS細胞をもちいて表現型の解析を実施した。これまでの研究からCHCHD2はミトコンドリアに局在し、ミトコンドリア呼吸鎖複合体に関与していることがわかっている。そこで、ミトコンドリア病やミトコンドリア機能解析で著名なシドニー大学Carolyn M Sue教授主宰の研究室へ8か月間訪問し、各種解析を実施した。CHCHD2ノックアウト細胞の解析の結果、ミトコンドリア呼吸量が基礎呼吸、最大呼吸ともにコントロール細胞に比べ著しく低下し、反して解糖系は活性化していた。またATP量とATP合成能もコントロール細胞に比べ著明に低下していた。ATP量はCHCHD2ノックアウト細胞に野生型CHCHD2を過剰発現することでコントロール細胞と統計学的に差がなくなるレベルまで回復した。さらにCHCHD2ノックアウト細胞はミトコンドリア膜電位と活性酸素種が上昇していた。呼吸鎖酵素複合体の活性を測定した結果、CHCHD2ノックアウト細胞では複合体IV活性が著明かつ有意に低下しており、CHCHD2ノックアウト細胞のミトコンドリアにおける表現型はこの酵素活性低下に起因していることが示唆された。CHCHD2変異陽性iPS細胞ではCHCHD2の発現量がmRNAレベル、タンパク質レベルともにコントロールiPS細胞と比べ明らかに減少しており、CHCHD2変異によって何らかの発現抑制がおきることでミトコンドリアの活性低下に影響していることが予想された。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (2件)
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