研究課題/領域番号 |
15KT0001
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鎌田 実 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (20224644)
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研究分担者 |
井上 剛伸 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 福祉機器開発部, 研究部長 (40360680)
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研究期間 (年度) |
2015-07-10 – 2018-03-31
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キーワード | 住環境 / 高齢者 / 自宅感 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、認知症を含む高齢者の居住環境の三次元スキャナを用いた住環境センシングシステムの開発と、それによる自立生活の可否判断と介護支援の必要性の判断、自立生活環境と認知・心理・生活状況の関係の解明、人間-環境感における生理・心理環境計測に基づく安全や快適、環境負荷に関連する「自宅感」の指標の提案など要素の研究を行いつつ、超高齢化社会における住環境全体のあり方をまとめることである。本年度は、次のことを実施した。 (1)独居高齢者の住まいの分析および住環境センシングシステムの開発:高齢者宅11件の訪問調査を実施し、機能低下と整理整頓、ヘルパーによる片付け支援に関するヒアリング調査を実施した。また、地域包括支援センター職員とケアマネジャーに対して、高齢者宅の支援介入の基準についての聞き取り調査を実施し、支援の評価項目をまとめた。一方、3Dスキャナを用いた定量評価では、10件の居宅のデータ収集と分析を行い、支援員の評価と同等の評価ができることを示した。 (2)在宅高齢者の心身状況を測定するツールの開発:10種類の作業活動が選択できるいきいきリハビリプログラムを、タブレット上で使用できる試作ソフトウェアの作成を行った。 (3)「自宅感」の定量表現および住宅改修、住替えの指針の提案:高齢者宅および支援員に対して、居室空間に関するこだわりや印象についてのヒアリングを行い、さらに計測した居室空間の3次元データを用いて自宅感評価についての検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
独居高齢者の住まいの分析、住環境センシングシステムの開発、在宅高齢者の心身状況を測定するツールの開発については、当初の計画以上に進展し、次年度の研究のベースとなる部分が充分用意できたといえる。データ収集と基本となる評価指標の開発に重点を絞ったため、自宅感の評価と住宅改修や住み替え指針の提案については、次年度行うこととして計画を変更した。
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今後の研究の推進方策 |
(1)高齢者の住まいの分析および住環境センシングシステムの開発:本年度開発した評価システムを用いて、継続して高齢者住宅のデータ収集を行う。また、生活環境悪化の兆候を捉える事になったきっかけやそれらの要因についてのデータ収集を行い、独居高齢者の住まいを表現する指標についての検討を行う。 (2)在宅高齢者の心身状況測定ツールの開発:施策したタブレット版アプリケーションを用いて事例を収集し、結果を元にデザイン等の改良ポイントを明らかにする。 (3)自宅感の定量表現および住宅改修、住替えの指針の提案:自宅感の評価手法についての検討を行い、若年健常者を対象者に自宅間の評価を行う。また、高齢者世帯を対象に住宅改修、住替えの際の従来の空間構成因子の変更点を分析する。さらに、住宅改修、住替えが発生する事例を想定し、改修方法の検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度実施予定であった自宅感に関する評価実験のうち、生体計測に関する検討を次年度に計画変更したため、物品費、実験費用などを次年度使用とした。また、海外旅費についても次年度に計画変更したため次年度使用とした。
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次年度使用額の使用計画 |
生体計測に関する検討を行い、それに伴う物品購入と実験を進める。また、海外での調査も実施する。
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