研究課題
近年、猛暑続きのなか、高齢者の熱中症は社会問題となっている。高齢者をとりまく様々な因子(高齢者の独居、老老介護、地球温暖化、都市化によるヒートアイランド、高齢者のやせ、サルコペニアなど)が高齢者の熱中症発生に関与していると考えられる。高齢者の熱中症のなり易さや高齢者の生理機能と身体組成を再考すると、高齢者骨格筋の働きは『運動器』や『熱産生器官(熱源)』(旧来のコンセプト)だけではなく、水を貯蔵して緊急時にはそこから水を血液(血漿)へ供給するという今まで見落としていた働き(ニュー・コンセプト)が存在することに気付く。本研究の目的は、高齢者骨格筋のニュー・コンセプトの証明と“筋の水代謝の解明”から「高齢者が脱水にならないための“からだづくり”」の情報・提言(指導・支援・刺激の“3S運動”)を発信することである。平成30年度(4年目)の取り組みと行ったことは、以下である。(1)高齢者では体水分量は少ないが、その少ない水分を有効に活用することで熱中症の予防が可能かもしれない。その仮説のもと、高齢者を対象として姿勢と体水分分布との関係を検討した。その結果、いくつかのパターンを認めたが、その理由や機序を明らかにするにはさらなる検討が必要であると思われた。(2)約23月齢の高齢マウスと若いマウスの骨格筋に発現する水チャネルを観察した。高齢マウスではアクアポリン4の低下を認めた。(3)高齢者では呼吸器や循環器の機能低下から、特に末梢組織では低酸素、高二酸化炭素となりやすい。骨格筋培養細胞において高二酸化炭素環境での水チャネルについて観察した。
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