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2017 年度 実施状況報告書

「老いの文化」の形成と機能に関する比較に基づく人類学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 15KT0008
研究機関放送大学

研究代表者

内堀 基光  放送大学, 教養学部, 教授 (30126726)

研究分担者 中村 美知夫  京都大学, 理学研究科, 准教授 (30322647)
加賀谷 真梨  新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (50432042)
広瀬 洋子  放送大学, 教養学部, 教授 (80208884)
小谷 真吾  千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (90375600)
高橋 絵里香  千葉大学, 大学院人文科学研究院, 准教授 (90706912)
研究期間 (年度) 2015-07-10 – 2019-03-31
キーワード老人学 / 老年ケア / 生涯コース / 小規模人口学 / マレーシア先住民社会 / フィンランド / チンパンジー社会
研究実績の概要

研究代表者 (内堀)と分担者(高橋)は6月に英国オックスフォードのブルックス大学で開催された「人類学、老年学、生涯学会」AAGE(Association of Anthropology, Gerontology and the LIfe Course)第10回研究大会に出席し、内堀はマレーシア・イバン社会における老人および弱者のケアの特質について、高橋は老人ケアと生涯研究に関わる理論的側面について、それぞれ研究発表を行った。本研究の平成29年度の国内における共同研究の理論活動としては、研究集会開催が1回のみ(7月)にとどまったが、そこで上記国際研究大会の全体的内容と意義について内堀と高橋が報告を行い、他の研究分担者および研究補助に加わっている若手研究者との間で緊密な討議をもった。
研究代表者と研究分担者による海外と国内における現地調査は、(1)マレーシアのサラワク州におけるイバン社会における老人ケアと生涯コースの調査を継続し、また同国ペナン州における日本人のリタイアド・ライフの問題点と近年の動向を探ったこと(内堀)、(2)タンザニア・マハレ国立公園内のチンパンジー社会においてデモグラフィーの把握のため個体情報のアップデート調査を継続したこと(中村)、(3)福島県大沼郡金山町における高齢者福祉の実態調査を行ったこと(加賀谷)、(4)フィンランド南西部において独居高齢者のインタビューを中心とするフィールドワークを2回行ったこと(高橋)、(5)マレーシア・クランタン州においてオランアスリの人口学的な動向に関する調査を若手研究補助者とともに2度にわけて行ったこと(小谷)、である。
研究成果は、学会大会での口頭発表および学会誌で公刊のほか、ホームページの運用による広報 (http://www.anth.l.chiba-u.ac.jp/gerontology/)を通じてなされた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

計画全体としては順調に遂行しているものの、2名の研究分担者がそれぞれ、研究計画2年次と3年次において、出産と育児、および親の介護により、調査対象地でのフィールドワークを繰り延べせざるを得ない状況が生じた。また分担者のうち、中村(京大)は所属組織において一定の指導的責任をもつ立場から、院生を含む別個の研究計画に相当の時間を割くこととなり、本研究によるフィールド研究を先延ばしにせざるを得ない状況となった。
延長の1年で上の遅延状況を回復する。また研究代表者と研究分担者1名が本研究の意義とこれまでの成果を発信するため、7月にマレーシアで開催される国際狩猟採集民学会大会でのセッションを組織し、そこでの発表を通じて本研究の意義を発信することによって、全体の成果発表へむけて推進を図ることとする。

今後の研究の推進方策

研究期間延長による最終年度にあたる平成30年度は、代表者と分担者のそれぞれが自らのフィールドにおいて現地調査を行い、これまでの3年間で追究してなかった、あるいは不十分だった観察とデータ収集に意を注ぐ。それとともに、各自が独立であるいは共同して、国際学会において成果の一部を発表する予定であり、そのための準備として、また事後の報告として、国内での研究会において各員の研究の進捗状況を相互に確認・評価を行う。これによって、研究の最終成果をまとめる方向性を確認する。
現地調査に関しては、具体的にはこれまでと同一の地域社会ないし施設の調査に注力するが、分担者のうち広瀬はアメリカ合衆国の高齢者文化コミュニティの調査を新規にはじめること、および代表者の内堀が研究対象に想定していたマダガスカルの村落に関して、現地の衛生状態と自らの健康状態を考慮して、本研究においては見合わせることとしたことが、主要な変更点である。
国際学会での成果発表としては、内堀および分担者の小谷が、国内外の他の研究者および本研究の補助として活動してきた千葉大学出身の分けて研究者を糾合し、本年度マレーシア・ペナン州で開催される「国際狩猟採集民学会」第12回大会で、生涯コースと老年者ケアに焦点を合わせたセッションを開催することとしている。また分担者の髙橋は本年度ブラジルにて開催される国際人類学・民族学連合大会で成果を発表する予定である。全体の成果発表は平成31年度の日本文化人類学会における分科会を予定しており、会場における討議等を合わせて、学会誌における論文特集として公刊することを視野に入れる。

次年度使用額が生じた理由

2名の研究分担者がそれぞれ、研究計画2年次と3年次において、出産と育児、および親の介護により、調査対象地でのフィールドワークを繰り延べせざるを得ない状況が生じた。また分担者のうち、中村(京大)は所属組織において一定の指導的責任をもつ立場から、院生を含む別個の研究計画に相当の時間を割くこととなり、本研究によるフィールド研究を先延ばしにせざるを得ない状況となった。
延長の1年(次年度)で上の状況を回復することとし、現地調査費用を使用計画に見込む。また研究代表者と研究分担者1名が本研究の意義とこれまでの成果を発信するため、平成30年7月にマレーシアで開催される国際狩猟採集民学会大会でのセッションを組織し、そこでの発表を通じて本研究の意義を発信する計画があるため、使用計画にはそのための対応を含む必要がある。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件) 図書 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] AAGE第10回研究大会報告2018

    • 著者名/発表者名
      内堀基光、髙橋絵里香
    • 雑誌名

      文化人類学

      巻: 82 ページ: 574-577

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 書評 安井眞奈美著『出産環境の民俗学-“第三次お産革命”にむけて』2018

    • 著者名/発表者名
      加賀谷真梨
    • 雑誌名

      日本民俗学

      巻: 293 ページ: 127-132

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A newborn infant chimpanzee snatched and cannibalized immediately after birth: Implications for “maternity leave” in wild chimpanzees2018

    • 著者名/発表者名
      Nishie H, Nakamura Mitsuo
    • 雑誌名

      American Journal of Physical Anthropology

      巻: 165 ページ: 194-199

    • DOI

      10.1002/ajpa.23327

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] 書評 斉藤綾子・竹沢泰子編『人種神話を解体する1──可視性と不可視性のはざまで』2017

    • 著者名/発表者名
      内堀基光
    • 雑誌名

      文化人類学

      巻: 82 ページ: 410-412

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Population Dynamics among the Orang Asli of Peninsular Malaysia.2017

    • 著者名/発表者名
      Odani, Shingo
    • 雑誌名

      Senri Ethnological Studies

      巻: 95 ページ: 150-171

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Not After the Deluge: A Note on Discourses on the Local Flood Experiences in the Upper Skrang2017

    • 著者名/発表者名
      Uchibori, Motomitsu
    • 雑誌名

      Ngingit

      巻: 9 ページ: 7-17

    • 国際共著
  • [学会発表] Practicing communal living without having community practices designated as cultural properties2018

    • 著者名/発表者名
      Kagaya, Mari
    • 学会等名
      The American Folklore Society, 2018 summer folklore institute
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Was the Iban Longhouse a Community of Care?2017

    • 著者名/発表者名
      Uchibori, Motomitsu
    • 学会等名
      Association of Anthropology, Gerontology and the Life Course, 10th Conference
    • 国際学会
  • [学会発表] Generations, social order and old age2017

    • 著者名/発表者名
      Takahashi, Erika
    • 学会等名
      Association of Anthropology, Gerontology and the Life Course, 10th Conference
    • 国際学会
  • [学会発表] The logic of “optimized” care: The rise of “a citizen-consumer” in Finnish eldercare services.人2017

    • 著者名/発表者名
      Takahashi, Erika
    • 学会等名
      Colloquium: Thinking about an anthropology of care
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 野生チンパンジーの対峙的屍肉食同所的肉食動物との関係に着目 して2017

    • 著者名/発表者名
      中村美知夫, 保坂和彦, 伊藤詞子, 松本卓也, 松阪崇久, 仲澤伸子, 西江仁徳, 島田将喜, 高畑由起夫, 山上昌紘, 座馬耕一郎
    • 学会等名
      第71回日本人類学会大会
  • [学会発表] 口減少地域におけるソーシャルキャピタル概念の適用に関する文化人類的検討2017

    • 著者名/発表者名
      小谷真吾,田所聖志,梅﨑昌裕,夏原和美,末吉秀二, 後藤千穂,柳生文宏
    • 学会等名
      第82回日本健康学会総会
  • [図書] Stonehood: Agency as Inagency, in An Anthropology of Things (Tokoro, Ikuya and Kaori Kawai eds.)2018

    • 著者名/発表者名
      Uchibori, Motomitsu
    • 総ページ数
      406 (273-277)
    • 出版者
      Kyoto University Press
    • ISBN
      978-1-925608-98-4
  • [図書] 「先住民と言語的少数派―フィンランドのサーミとスウェーデン語話者」『先住民から見る現代世界―わたしたちの〈あたりまえ〉に挑む』深山直子、丸山淳子、木村真希子(編)2018

    • 著者名/発表者名
      髙橋絵里香
    • 総ページ数
      288(213-217)
    • 出版者
      昭和堂
    • ISBN
      978-4-8122-1640-8
  • [図書] 「ジュディス・バトラー」『はじめて学ぶ文化人類学』岸上伸啓編2018

    • 著者名/発表者名
      加賀谷真梨
    • 総ページ数
      336 (233-238)
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
    • ISBN
      978-4-6230-8274-2
  • [備考] 比較老年研究

    • URL

      http://www.anth.l.chiba-u.ac.jp/gerontology/

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公開日: 2018-12-17  

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