研究課題/領域番号 |
15KT0015
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
青井 伸也 京都大学, 工学研究科, 講師 (60432366)
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研究分担者 |
柳原 大 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (90252725)
中陦 克己 岩手医科大学, 医学部, 教授 (60270485)
舩戸 徹郎 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (40512869)
荻原 直道 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (70324605)
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研究期間 (年度) |
2015-07-10 – 2019-03-31
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キーワード | シナジー / リズム / 歩行 |
研究実績の概要 |
平成29年度も昨年度に引き続いて、ヒトやサル、ラットなどの歩行計測を行い、計測したデータの解析から、それぞれの歩行運動に内在する低次元シナジー構造の解明を目指した。特に、トレッドミル上を無拘束で四足歩行、二足歩行するニホンザルから計測した下肢、上肢、体幹筋を含む片側9筋の筋電図に対して、非負値行列因子分解を用いて筋シナジー解析を行い、それぞれの歩容間で共通、もしくは特異な筋シナジーの時空間構造を調べた。その結果、個体や歩容に関わらず4つの時空間パターンの組合せで筋電図のほとんどが説明されること、そのうちの3つは下肢が大きく寄与し、歩容に共通、もしくは特有な構造が見られること、また歩容に依存して、体幹と下肢、もしくは上肢と下肢が協調していることなどが明らかとなった。 さらに、ヒトの歩行と走行、そして転倒を説明する力学原理を明らかにするために、一次元の運動(相空間は二次元)に単純化したハイブリッドな力学系を有するシンプルな数理モデルを構築し、周期解の存在と安定性に関する力学解析を行った。その結果、モデルの物理パラメータに依存してそれぞれの歩容が存在し、特に中速度領域において歩行と走行が共存することが明らかとなった。さらに、パラメータに依存した歩容変化においてヒステリシスが見られ、そのヒステリシスを説明する力学構造として、従来のサドルノード分岐で説明されるものとは異なる、転倒も関連した新たな分岐構造が見受けられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した研究実施計画のように、ヒトやサル、ラットなど様々な動物の歩行における低次元シナジー構造の解析から、その特徴が明らかになりつつあり、シンプルモデルを用いた力学系の解析など数理的手法より、歩行の支配原理が明らかになりつつあるため。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、ヒトや動物の歩行計測と解析による低次元構造の解明、リズムダイナミクスのモデル化や神経筋骨格系のモデル化による動力学解析、位相計算的時系列解析法やシンプルモデルを用いた分岐解析を引き続き行い、神経・筋・骨格系の低次元構造の間の力学的法則性や、それを生み出す支配原理の解明を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究参加者の間で打ち合わせのための旅費を確保していたが、別の研究プロジェクトに係る打ち合わせなどを利用してその前後に別に時間を取ることで対応したり、状況に応じてテレビ会議システムなどを利用することで、その一部を削減することができたため。繰り越した経費を用いて、研究を推進するための研究協力者の雇用費や、国内・国際会議における発表や、研究成果をまとめて論文として発表するための英文校正費や論文投稿料、オープンアクセス費などに用いていく。
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