研究課題/領域番号 |
15KT0021
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
小西 克巳 工学院大学, 情報学部(情報工学部), 准教授 (20339138)
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研究分担者 |
古川 利博 東京理科大学, 工学部情報工学科, 教授 (00190140)
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研究期間 (年度) |
2015-07-10 – 2019-03-31
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キーワード | 信号修復 / 低ランクアプローチ / 多様体学習 |
研究実績の概要 |
本研究は、防犯カメラ等で撮影された人物行動の映像が、裁判における証拠能力を担保するための新しいモデリング手法と解析手法の導出が目的である。本年度は、新しいモデリング手法として、グラフ埋め込み型モデリング手法を導出した。 本研究でモデリング対象としている人物行動は、関節部位の位置座標の時系列データである。これらの時系列データは非線形システムの出力となるため、モデリングが難しい。そこで本研究では、機械学習分野の多様体学習で用いられる局所線形埋め込み(Locally Linear Embedding)法に注目し、新たなモデリング手法を導出した。LLEでは、観測信号が近傍の観測信号の線形和で近似可能であると仮定して、その線形和の重み行列を求めることで、観測信号を線形部分空間上に射影して学習を行う手法である。本研究では、この重み行列がグラフラプラシアンになることに注目し、グラフ埋め込み型モデリング手法を導出した。つまり、観測信号が属する多様体は、このグラフラプラシアンで表現されていることを積極的に活用し、このグラフと、線形部分空間上での線形システムによって、非線形システムを表現する手法である。同手法は、観測信号の近傍という情報のみだけではなく、事前情報からグラフを構成できるという利点がある。 本研究では、低ランク行列アプローチに基づく信号修復にも拡張し、防犯カメラ等で撮影された人物行動の一部が観測できなかった場合にも、その行動を精度良く推定する手法を導出した。実際のカメラ映像を利用した実験により、その有効性を確認している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度導出したグラフ埋め込み型モデリング手法は、当初の予定にはなかったモデリング手法であるが、モデルを得るための計算時間は極めて短く、その精度が高いことが計算機実験により確認されている。また、多様体学習という、機械学習分野の手法を応用した手法で、学術的にも価値の高い手法となっている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度導出したグラフ埋め込み型モデリング手法を拡張し、引き続き研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた国際会議に採択されなかったために次年度使用額が生じた。 翌年度に国際会議での発表、および、実験の拡充、論文誌への投稿料として充てる予定である。
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