研究課題/領域番号 |
15KT0024
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
妹尾 啓史 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (40206652)
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研究分担者 |
磯部 一夫 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (30621833)
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研究期間 (年度) |
2015-07-10 – 2018-03-31
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キーワード | 一酸化二窒素ガス / 畑土壌 / 脱窒細菌 / 環境調和型農業 / 土壌微生物 / 土壌学 |
研究実績の概要 |
新潟県農業総合研究所内の灰色低地土畑圃場において、尿素肥料または粒状有機質肥料を施用してその後のN2Oフラックスを測定する圃場試験をこれまでに行ってきた。N2Oは脱窒反応の中間産物として生成し、一方、脱窒反応の最終ステップ(N2 → N2O)で消去される。経時的に採取して保存していた圃場の土壌から土壌DNA・RNAを抽出し、N2O生成に関わる脱窒反応のnirK, nirS遺伝子をN2O消去に関わる脱窒反応のnosZ遺伝子を対象としてPCR-クローンライブラリ解析を行った。 一方、同圃場の土壌からこれまでに多様な分類群に属する多数の脱窒細菌株を分離してきた。これらについて16S rRNA遺伝子、nosZ, nirK, nirS遺伝子を解析して系統分類ならびに脱窒遺伝子の系統関係を明らかにした。 圃場においてN2O発生がピークを示している時期の土壌RNAに含まれる脱窒機能遺伝子の配列と、分離脱窒菌株の系統分類ならびに脱窒機能遺伝子の配列を照らし合わせることにより、N2Oの生成ならびに消去に寄与している脱窒細菌を特定することを試みた。その結果、圃場でのN2O発生ピーク時にnosZを発現していると考えられる脱窒細菌の分類群が複数見出され、これらの脱窒細菌群がN2O還元に関与している可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに実施してきた圃場試験の成果と土壌サンプル、これまでに取得してきた菌株材料を活用することにより効率的に研究を推進し、N2O消去に機能している脱窒細菌群を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
1.圃場でN2O生成に機能している脱窒細菌群を明らかにする。 2.N2O生成・消去に機能している鍵脱窒菌を分離菌株レベルで明らかにする。 3.N2O生成・消去微生物のゲノム解析から土壌での生態・機能を明らかにして、N2O発生削減技術の基礎とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
分離脱窒菌株の脱窒最終産物としてのN2O/N2生成についての解析が一部残っているために、必要な試薬等の物品費に当初予定との差額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
分離脱窒菌株の脱窒最終産物としてのN2O/N2生成についての解析を完了する予定であり、それに必要な試薬等の物品費として主に使用する。
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