研究課題
日本の農村地域では市場を介さない食料の自家生産や分かち合いによって、豊かな食生活が維持されているところが少なくない。彼らは、生産規模は小規模ながらもその生産活動と食の分かち合いや食文化を通じて、食に伴う多様な恵みを支えてきた。そこで、本研究では、小規模・家族農業と食の分かち合いのサブシステムを対象として、分析概念枠組みと対象地域での食に伴う多様な恵みのインベントリを構築し、市場を介さない食の流通の実態と食に伴う多様な恵みのアカウンティングの方法を開発した。全国オンライン調査結果に基づき、農村地域類型別(山間農業地域、中間農業地域、平地農業地域、都市的地域)での食の分かち合いの実態と土地利用との関係を定量的に明らかにした。また、家計消費等の統計データや土地利用データから3次メッシュを単位として日本全国規模でのエコロジカルフットプリントとバイオキャパシティの値を算出するとともに、その空間分布の傾向を把握した。佐渡島での事例研究では、これまで過小評価が懸念されていた、農村地帯の「豊かさ」を数値化するため、包括的富指標(Inclusive Wealth Index)を応用して地域スケールでの包括的富の推計方法を開発した。また、自然資源が豊富な八丈島を対象にヒアリング調査とアンケート調査を実施することで、食料の自家生産やおすそわけといった社会的ネットワークによる食料の流通量を対象に既存の統計情報と比較可能なアカウンティング手法を開発し、市場を介さない自家生産やおすそわけによって流通している食料をカロリー、金額、栄養素として算出した。さらに、食の分かち合いによる食の多様性、物質・エネルギー、農村ランドスケープとの関係分析を定量的・空間明示的に明らかにした。また、地域域の自然・社会特性に応じた食の分かち合いと低炭素・循環型の食料供給システムの融合の仕組みとその支援方策を提案した。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 2件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 5件、 招待講演 5件) 図書 (2件)
Sustainability
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