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2015 年度 実施状況報告書

食料廃棄物を用いた有機資材による高付加価値黒大豆生産のための環境創造型農業の構築

研究課題

研究課題/領域番号 15KT0033
研究機関神戸大学

研究代表者

芦田 均  神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (90201889)

研究分担者 山下 陽子  神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (10543796)
竹中 慎治  神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40314512)
藤嶽 暢英  神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (50243332)
研究期間 (年度) 2015-07-10 – 2018-03-31
キーワード有機資材 / 環境創造型農業 / 黒大豆 / ポリフェノール
研究実績の概要

低温発酵有機資材HYS-LOMを用いた環境創造型農業技術構築のため、以下の試験を実施した。
1 HYS-LOMの開発と評価:低温発酵有機資材の微生物叢の分布特性について調べた。発酵前と発酵後のサンプルについて微生物叢を調べた結果、発酵後のサンプルにおいてのみPediococcus acidilacticiおよびP. pentosaceusに属すると考えられる乳酸菌が見られた。続いて、豊岡市の河谷営農組合で調製された低温発酵有機資材について発酵直後と1か月後のサンプルについて同様にMRS培地似て調べた結果、Lactobacillus acidipiscisおよびL. pobzihiiに属すると考えられる乳酸菌が検出された。そこで、乳酸菌検出に特化したプライマーを用いてPCR-DGGE解析をした結果、L. acidipiscisおよびL. pobzihii由来と思われる増幅断片のみが見られ、その他の細菌由来のものは検出されなかった。よって、低温発酵有機資材中の優占微生物は乳酸菌であることが明らかとなった。また、河谷営農組合の圃場で土壌サンプリングをし、0-30cm コアの土壌観察の結果から、土性 粘質~強粘質で土色が灰褐色を呈する灰色低地土であり、分析結果から、農耕地土壌分類に基づくと「細粒灰色低地土、灰褐系(13D)」であると命名した。
2.農産物の評価:黒大豆の主要ポリフェノールであるアントシアニンを蛍光検出器付き高速液体クロマトグラフィーを用いた分析系を構築した。施肥条件の異なる黒大豆種皮を分析したところ、市販の有機資材よりHYS-LOMを施肥した黒大豆種皮種皮抽出物のポリフェノール含量と抗酸化能が高いことが分かった。特に、施肥を元肥で施すより、中耕で施す方が、ポリフェノール含量と抗酸化能が高いことが分かった。以上のことから、HYS-LOMの優位性が明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

低温発酵資材であるHYS-LOMは、発酵過程で乳酸菌を優先的に生育させることが分かったこと、試験区圃場の土壌分析ができたこと、生産した黒大豆種皮の機能性成分であるポリフェノール含量が、市販有機資材よりHYS-LOMで高くなること、施肥法として中耕時に施肥するとより効果が高いことが分かった。また、肥料成分・土壌成分の分析も進行中である。以上のことから判断すると概ね順調に進展していると評価できる。

今後の研究の推進方策

低温発酵有機資材中の優占微生物が乳酸菌であることが分かったことから、平成28年度は乳酸菌に特化して資材中の乳酸菌のさらなる特定とその推移について調べる。まず、実験室にて調製温度および通気条件を変えながら有機資材を作製し、優占種の単離を試みる。つづいて、単離した乳酸菌を低温発酵開始前に摂取し、有機資材の特性を共同研究者とともに調べる。また、有機資材を施肥した水田・畑土壌中の残存乳酸菌量も明らかにする。肥料成分・土壌成分の分析については継続するとともに、圃場の土壌断面標本を作製し、土壌特性を明確にする。上記の製造条件を変えたと各種HYS-LOMを用いた小規模ポット試験を実施する。農作物の評価は、前年度同様に新たに栽培した黒大豆について実施するとともに、種皮抽出物を投与した実験動物の血中ポリフェノール含量も測定する。

次年度使用額が生じた理由

黒大豆の収穫時期が12月であるため、今年度の黒大豆の機能性成分分析が完了していないこととと土壌分析の一部が年度内に完了できなかったたため、経費を次年度への持ち越しを行った。これらについては、平成28年度予算とあわせて実施し、成果を出す予定である。

次年度使用額の使用計画

・平成27年度収穫の黒大豆種皮から抽出したポリフェノールの分析と機能性の確認を継続して実施することで持ち越した予算と平成28年度予算を合わせて有効利用する。
・平成27年度に採取した土壌成分分析を継続して実施ことで持ち越した予算と平成28年度予算を合わせて有効利用する。また、植物体が圃場に無い次期に土壌を掘り下げて断面標本を作成して土壌の状態を詳細に観察する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 施肥条件の異なる黒大豆における抗酸化成分の含量変化について2015

    • 著者名/発表者名
      王柳青,山下陽子, 芦田均
    • 学会等名
      第54回日本栄養・食糧学会近畿支部大会
    • 発表場所
      神戸大学(兵庫県・神戸市)
    • 年月日
      2015-10-10
  • [学会発表] Development and application of an analysis method for procyanidins by using HPLC coupled with a Fluorescence detector2015

    • 著者名/発表者名
      Liuqing Wang, Yoko Yamashita, Hitoshi Ashida
    • 学会等名
      The 8th International Conference and Exhibition for Nutraceuticals and Functional Foods (ISNFF2015)
    • 発表場所
      Wuxi, China
    • 年月日
      2015-09-20 – 2015-09-23
    • 国際学会

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公開日: 2017-01-06  

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