研究課題/領域番号 |
15KT0040
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
和田 毅 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (20534382)
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研究分担者 |
上田 博人 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (20114796)
R・TINOCO Antonio 上智大学, 外国語学部, 教授 (80296889)
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研究期間 (年度) |
2015-07-10 – 2019-03-31
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キーワード | 紛争 / 自然言語処理 / イベント分析 |
研究実績の概要 |
本研究は、暴動・民族浄化・集団虐殺・内戦などの暴力的紛争の勃発を予知するシステムを構築することを目的としている。今年度の研究実績は以下の通りである。 ①世界各地の様々な紛争の事例を比較検討し、非暴力の争いが暴力的紛争にエスカレートしていくメカニズムの理論化作業を実施した。大学院生5名を含む作業チームが、4回の研究会(9月18日、9月25日、12月3日、12月26日)にて発表を行い、それぞれの研究成果を共有した。これらの成果を用いた論文を、国際社会学会(International Sociological Association)に投稿し、2016年度の学会発表論文として採択された。 ②暴力的紛争を予測するために不可欠な、世界中の政治・経済・社会的事件をリアルタイムで分析可能にするデータベースを構築するための各種作業を行った。10月7日には、自然言語処理の専門家2名を招聘して、研究会を開催し、この研究の具体的な方針について助言を得た。また、自然言語処理技術を用いた論文をLatin American Studies AssociationやAsociacion Asiatica de Hispanistasなどの国際学会に投稿し、学会発表論文として採択された。 ③上記①で解明する紛争発生のメカニズム理論を、②で構築するデータベースに適用して、暴力的紛争勃発を予測する統計モデルの開発に努め、その最初のモデルを作成した。この成果を国際社会学会(International Sociological Association)に投稿し、2016年度の学会発表論文として採択された。 この研究の概要を広く共有するため、日本学術振興会主催の特設分野研究・研究代表者交流会(9月16日)に参加し、研究内容の発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
この研究の柱のひとつとして、自然言語処理技術を用いることで、スペイン語の記事からリアルタイムでデータベースを構築する作業がある。これを実施するためには、スペイン語を理解することができ、かつ、自然言語処理技術を扱う能力のある人材が必須である。当初この作業の中心となる予定だった人材が、就職により離れてしまったことにより、プロジェクトのこの作業の進捗状況が遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
①暴力的紛争発生メカニズムの理論化作業と③暴力的紛争勃発を予測する統計モデルの開発作業はこれまで通りに継続していく。②自然言語処理技術を用いたリアルタイムでの政治・経済・社会的事件のデータベース化作業については、これを専門とする大学院生を雇用し、開発を続ける。大学院生を含めた研究チームによる研究成果発表を各種国際学会にて行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
最大の支出項目として、スペイン語自然言語処理作業を実行する大学院生スタッフを雇用する人件費を計上していた。当初この作業の中心となる予定だった人材が、就職により離れてしまった。その後、スペイン語を理解し、かつ、自然言語処理技術を扱う能力のある人材を確保することができなかったため、次年度使用額が生じることとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
スペイン語自然言語処理を専門とする院生を雇用することで、計画通りに研究を実施する。もし、そのような専門家を雇用できない場合には、人材が豊富な英語の自然言語処理の専門家と、スペイン語を扱うことのできる院生を雇用し、ふたりで共同作業をすることにより、研究を実施する。
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