研究課題/領域番号 |
15KT0040
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
和田 毅 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (20534382)
|
研究分担者 |
上田 博人 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (20114796) [辞退]
R・TINOCO Antonio 上智大学, 外国語学部, 教授 (80296889)
|
研究期間 (年度) |
2015-07-10 – 2019-03-31
|
キーワード | 紛争 / 自然言語処理 / イベント分析 |
研究実績の概要 |
本研究は、暴動・民族浄化・集団虐殺・内戦などの暴力的紛争の勃発を予知するシステムを構築することを目的としている。今年度の研究実績は以下の通りである。 ①:世界各地の様々な紛争の事例を比較検討し、非暴力の争いが暴力的紛争にエスカレートしていくメカニズムの理論化作業を実施した。その研究成果を、大学院生5名を含む作業チームがオーストリアのウィーンで開催された国際社会学会(International Sociological Association)世界フォーラムにて英語で発表した。 ②:暴力的紛争を予測するために不可欠な、世界中の政治・経済・社会的事件をリアルタイムで分析可能にするデータベースを構築するための各種作業を行った。自然言語処理の専門家を雇用し、そのソフトウエア開発を継続して行った。また、セミナーシリーズ『人文社会科学分野におけるビッグデータと自然言語処理の活用』を定期的に4回開催し、文系研究者が最新の方法論を学べる機会を設けた。また、自然言語処理技術を用いた論文を2016年Latin American Studies Association等の国際学会にて発表した。 ③:上記①で解明する紛争発生のメカニズム理論を、②で構築するデータベースに適用して、暴力的紛争勃発を予測する統計モデルの開発に努めた。この成果を2016年国際社会学会(International Sociological Association)の国際フォーラムで英語で発表した。さらに、第1回メキシコ社会運動研究全国大会における招待講演で、ネットワーク分析手法を用いた紛争解析の成果を報告した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
この研究の要のひとつとして、自然言語処理技術を用いることで、スペイン語の記事からリアルタイムでデータベースを構築する作業がある。この作業を担当できるスペイン語自然言語処理の専門家を確保できたのが10月であったため、プロジェクトのその側面については進捗状況が遅れることとなった。
|
今後の研究の推進方策 |
①暴力的紛争発生メカニズムの理論化作業と③暴力的紛争勃発を予測する統計モデルの開発作業はこれまで通りに継続していく。開発が遅れている②自然言語処理技術を用いたリアルタイムでの政治・経済・社会的事件のデータベース化作業については、この作業の専門家と共同開発していく道筋が昨年10月にできたので、今後は特に力を入れて推進していく。また、スペインやラテンアメリカ地域の紛争研究の専門家と国際協力を行いながら、データベースの精緻化とその有益な活用方法を探求してく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
最大の支出項目として、スペイン語自然言語処理作業を担当する専門家を雇用する人件費を計上していた。当初この作業の中心となる予定だった人材が就職により離れてしまったため、次の人材を探していた。スペイン語を理解し、かつ、自然言語処理技術を扱う能力のある人材を確保することが難しく、やっと10月になって人材を確保し、作業を再開することが可能になった。このため、次年度使用額が生じることとなった。
|
次年度使用額の使用計画 |
昨年度後半に雇用したスペイン語自然言語処理の専門家を雇用することで、計画通りに研究を実施する。この研究を飛躍的に進めるために、スペイン語以外の自然言語処理の専門家も別に雇用する。これによって、スペイン語が不要な技術的な作業については、同時並行で進める体制を整えることができる。
|