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2016 年度 実施状況報告書

実在・仮想データを用いた議論の論理に基づく紛争分析支援

研究課題

研究課題/領域番号 15KT0041
研究機関電気通信大学

研究代表者

木藤 浩之  電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 客員研究員 (90705287)

研究分担者 高井 利憲  奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 客員准教授 (10425738)
阿部 明典  千葉大学, 文学部, 教授 (40221725) [辞退]
久代 紀之  九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (50630886) [辞退]
新田 克己  東京工業大学, 情報理工学院, 教授 (60293073) [辞退]
中村 潤  金沢工業大学, 工学研究科, 客員教授 (80532994) [辞退]
研究期間 (年度) 2015-07-10 – 2019-03-31
キーワード知能情報学 / 紛争研究 / 議論 / 論理 / 機械学習
研究実績の概要

今日の紛争に関する議論の多くはそれがどのようなデータに裏付けられているのか,反例となるデータは存在するのかなどデータの観点から議論を適切に評価することが容易ではない.本年度は紛争の一つの形態である議論に対して,その対立構造を統計的に推定する研究を行った.昨今のオンラインフォーラムは多数の論証(意見)およびユーザによるそれらへの賛否(投票)を保持している.一方で,論証は自然言語で書かれており論証間の関係性(例えば反論関係)は自明ではない.もし反論関係を自動で抽出できれば,どの論証がどの論証を攻撃しており,どの論証がどの論証達によって守られているのかが明らかになる.これにより少数意見として無視される傾向にある一方で,紛争分析において重要な役割を果たす意見を発見できる.
この問題に取り組むために,本研究では議論的推論の代表的な基礎理論であるDungの受理可能性意味論を統計的推論の代表的な基礎理論であるBayesの定理に適用した.これにより議論的推論を統計的推論として記述,実現した.そもそも議論的推論は議論の所与の反論構造からその議論を構成する個々の論証の受理状態を規範的に定義するものである.従い,本適用により,オンラインフォーラムにおけるユーザの賛成票・反対票から議論の反論構造の推定が可能になる.この初期の内容は人工知能の分野で最も権威がある国際会議の一つであるIJCAIに2017年に採択され,査読者からは学術的独創性および潜在性が高いとの評価を受けた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本研究の基礎を成す着想は,人工知能の分野で最も権威がある国際会議の一つであるIJCAIに2017年に採択され,査読者からは学術的独創性および潜在性が高いとの評価を受けた.この理由は,議論の反論構造を推定する研究の多くが自然言語処理や計算言語学に基づく手法を頼りにしているのに対して,本研究は数理議論学を頼りにしているためである.両者は共通の目的に対して異なる情報を分析している.従って,両者は将来的に互いの弱点を補完する可能性を秘めている.

今後の研究の推進方策

本研究の実験的評価,計算量的評価と改善,実用的規模の問題の取扱,特定の紛争の分析と評価など残されている課題は多いが,最終年度までにやるべきことおよびその方法ははっきりしている.まずは統計的推論の最新の研究成果を取り入れることで先述した課題に取り組む.その結果を一流の国際会議・国際誌で発表した後,然るべき研究者や研究機関を訪問し意見交換することで多くの知見を得る.

次年度使用額が生じた理由

権威のある国際会議に採択されなかったという理由で出席を取りやめたため旅費およびその他が余った.また,研究代表者の所属変更があったため物品を揃える環境が整わず書籍等の購入を取りやめたため物品費が余った.環境が落ち着いたため,来年度は,本研究の成果を権威のある国際会議および国際誌で発表するため,そして必要物品を揃えるために本研究費を用いる.本研究に関する成果について様々な研究者と意見交換するための滞在費として本研究費を用いる.また,本研究を進めるために必要となる書籍や各種備品の購入に本研究を用いる.

次年度使用額の使用計画

以下に使用計画(予定)を示す.

国際会議予稿集(3冊×15千円): 45(千円), 専門書(6冊×5千円): 30, 文房具類(ボールペン, 計算メモ用紙等): 5, 国内会議交通費(5件×30千円): 150, 国内会議宿泊費及び日当(5件×10千円): 50, 共同研究打ち合わせ(出張10件×30千円: 300, 国際会議交通費(5件×200千円): 1000, 国際会議宿泊費及び日当(5件×20千円×5泊): 500, 研究協力謝金: 120, 国内会議参加費(5件×10千円): 50, 国際会議参加費(5件×50千円): 250, 国外出張旅費(4件×400千円): 160

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2017 2016

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件) 図書 (2件)

  • [学会発表] A Bayesian Approach to Argument-Based Reasoning for Attack Estimation2017

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki Kido and Keishi Okamoto
    • 学会等名
      Proc. of the 26th International Joint Conference on Artificial Intelligence
    • 発表場所
      Melbourne, Australia
    • 年月日
      2017-08-19 – 2017-08-25
    • 国際学会
  • [学会発表] Developing SNS tool for Consensus Building on Environmental Safety using Assurance Cases (Tool Paper)2016

    • 著者名/発表者名
      Yutaka Matsuno, Yang Ishigaki, Koichi Bando, Hiroyuki Kido and Kenji Tanaka
    • 学会等名
      Proc. of the 4th International Workshop on Assurance Cases for Software-intensive Systems
    • 発表場所
      Trondheim, Norway
    • 年月日
      2016-09-20 – 2016-09-20
    • 国際学会
  • [学会発表] Argumentation Versus Optimization for Supervised Acceptability Learning2016

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki Kido
    • 学会等名
      Proc. of the 19th International Conference on Principle and Practice of Multi-agent Systems
    • 発表場所
      Phuket, Thailand
    • 年月日
      2016-08-22 – 2016-08-26
    • 国際学会
  • [図書] Proc. of the 2nd International Workshop on Argument for Agreement and Assurance2017

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki Kido
    • 総ページ数
      15
    • 出版者
      Springer
  • [図書] Proc. of the 19th International Conference on Principles and Practice of Multi-Agent Systems2016

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki Kido
    • 総ページ数
      10
    • 出版者
      Springer

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公開日: 2018-01-16  

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