バルカン諸国における歴史教育と歴史教科書の実態の把握につとめ、各国の専門家のレビューを受けつつ、その特徴と問題点を明らかにした。研究開始当初は自国史中心の歴史叙述が克服されつつあるかに見えたが、近年改訂されたバルカン諸国の歴史教科書の事例からは、ナショナリズムの再燃を思わせる叙述や共有されるべきバルカンという地域の視点を無視するような叙述も見られ、なお和解・共生に向けた動きが十分に受容されたわけではなく、各国共通副教材のような試みにも大きな制約があることが判明した。また、バルカン諸国と東アジアの動向の比較・検討を行いながら東アジアにも適用可能な新たな地域史構築の方法を探り、一定の成果をあげた。
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