二機能性不斉配位子とRh-Agナノ粒子からなるキラル金属ナノ粒子が,アリールボロン酸の不飽和カルボニル化合物やニトロアルケンへの不斉1,4-付加反応において高収率,高エナンチオ選択性をもって目的物を与えることを見出した.本触媒系では,不斉配位子のジエン構造が金属種と相互作用し不斉反応場を構築し,二級アミド構造が水素結合による直接の相互作用で,基質を不斉反応場の適切な位置に配向し,遷移状態のエネルギーを低下させることで反応を加速し,高度な立体選択性が発現しているという仮設を立てた.反応機構研究の結果,金属活性種,不正配位子と金属種との相互作用,不斉発現の遷移状態について多くの知見を得た.
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