研究実績の概要 |
本研究では有機化学・分析化学・計算科学が連携し、緊密に情報を共有することで、従来ブラックボックスである「炭素―水素結合活性化反応の本質」を明らかにし、「炭素―水素結合活性化反応の遷移状態制御」と「安価ですぐれた触媒を設計するうえでの指針確立 」を目標とする。令和3年度も、令和2年度までに得られた結果を基に、炭素(sp3)―水素結合活性化反応を測定対象とし、「均一系触媒系」(N. Chatani et al, J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 12984.)と、「ナ ノ粒子触媒系」(M. Arisawa et al, Adv Synth. Catal. 2014, 356, 1361.)の両方の系について、律速段階の決定・塩基および溶媒の役割について検討した。また、これらの反応機構を決定するため、得られた結果を詳細に解析し、計算結果の精度を上げる為の工夫を進めた。、実験系においては、計算化学を進める上で必要な対照実験を展開するとともに、ナノ粒子触媒による炭素―水素結合活性化反応の新たな例を見出しており、順調に推移しているところであるが、コロナ禍のため令和3年度は遅れが出ている。さらに、これらナノ粒子触媒の酸化数や粒子系についても、分析研究を展開するSPring-8での実験が実施困難であったことから、令和3年度は遅れが出ている。遅れてはいるが、いずれの研究も少しづつ進んでいる。引き続き、均一系金属触媒および金属ナノ粒子触媒の炭素―水素結合活性化反応における遷移状態について検証を重ねているところである。
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