研究課題
基盤研究(B)
金属間の強い相互作用や活性中心の近接効果により、単核金属錯体ではなし得ない特異な反応性を示す可能性を秘める多核金属錯体に特有な反応開発に関する研究を行い、二つの金属に挟まれた有機配位子上の特異な位置での炭素-水素結合活性化が進行することを見出した。反応の進行の鍵となるのは二核錯体の柔軟性にあり、反応点となる炭素-水素結合が金属中心に接近するため、有機配位子が二つの金属間で様々に構造を変え、その結果、炭素-水素結合活性化の進行を観測することに成功した。
有機金属化学
本研究により、有機物の官能基化において重要な炭素-水素結合活性化が、従来の配向基を用いる方法ではなく、複数の金属からなる多核金属錯体を反応場とすることで配向基を用いることなく速やかに進行し、さらには単核金属錯体では成し得ない位置での反応が可能となることを見出した。多核金属錯体に特有な構造の柔軟性を用いる新たな反応開発の基盤的知見となる点で、学術的にも意義深い内容である。