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2016 年度 実施状況報告書

チェーンウォーキングを活用するための遷移状態制御による触媒設計に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 15KT0069
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

河内 卓彌  慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 講師 (70396779)

研究期間 (年度) 2015-07-10 – 2020-03-31
キーワードチェーンウォーキング / パラジウム触媒 / 反応機構
研究実績の概要

1,10-フェナントロリン配位子をもつパラジウム触媒のチェーンウォーキング機構についての実験的な検討に関して、アルケンの異性化反応における反応性を調べた。とりわけ、チェーンウォーキングによって通過する炭素鎖状に不斉点をもつ基質を用いた場合に、異性化反応後にその光学純度が維持されるかどうかは、本反応がチェーンウォーキング機構で進行するか、もしくは段階的アルケン異性化機構で進行するかを見分ける重要な知見となる。そこで、本研究においては、(S)-3-メチル-6-ヘプテン-1-オールのトリエチルシリルエーテルの長距離異性化反応により、対応するシリルエノールエーテルへと選択的に変換する反応を検討した。まず対応する基質を97% eeで調製した。続いてフェナントロリンパラジウム触媒、NaB{3,5-(CF3)2C6H3}4およびモレキュラーシーブ4Aの存在下、ジクロロエタン中、0℃でアルケンの長距離異性化反応を行った。反応開始後30分で停止させた場合には、対応するシリルエノールエーテルが収率38%、95% eeで得られ、ほぼ立体保持で反応が進行していることがわかった。また、反応開始後1時間においては、生成物が収率57%、93% eeで得られた。反応の進行とともに、わずかながらラセミ化が進行しているものの、このアルケン長距離異性化反応はほどんど立体保持で進行していることが確認できた。これにより本触媒系におけるアルケン異性化反応は、チェーンウォーキング機構を経て進行していることが強く示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今までの研究結果に加えて、本研究における実験的な知見から、フェナントロリンパラジウム触媒のアルキル鎖状の移動がチェーンウォーキング機構で進行していることが強く示唆された。これにより、効率的にチェーンウォーキングを行う触媒を見出す足がかりとなる反応を見出すことができた。

今後の研究の推進方策

今まで同時に進めてきた理論化学的アプローチによる研究に加えて、実験化学的なアプローチによる触媒評価を組み合わせることで、どのような配位子骨格が効率的なチェーンウォーキングのために有用であるかを評価するとともに、最適の配位子の開発を進める。

次年度使用額が生じた理由

実験化学的な検討に関して、重水素化基質の合成に関しての課題が解決していないこと、また研究設備の移動等により一時的に使用困難な時期があったことなどのため、一部の検討で遅れが生じている。

次年度使用額の使用計画

実験化学的な検討に関しては、上記の合成法の工夫により、また研究設備を安定的に利用していくことで、研究を進めていく予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 革新的な物質活性化法を駆使した新しい触媒的分子変換法の開発2016

    • 著者名/発表者名
      河内卓彌
    • 学会等名
      第33回有機合成化学セミナー
    • 発表場所
      ヒルトンニセコビレッジ(北海道・ニセコ町)
    • 年月日
      2016-09-07
    • 招待講演

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公開日: 2018-01-16  

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