研究課題
基盤研究(B)
1,10-フェナントロリン配位子をもつパラジウム触媒に関する理論化学的および実験化学的検討を行ったところ、アルキル鎖上のチェーンウォーキング過程がアルケン交換過程よりも有利であることを示す結果が得られた。また、理論化学計算よりチェーンウォーキング機構が通常考えられていたのとは異なる選択性をもって起こりやすいことも示唆され、これは重水素化基質を用いた実験化学的検討により支持された。
有機金属化学
本研究結果により、有機合成化学に変革をもたらす遠隔官能基化技術の一つであるチェーンウォーキングの詳細な理解が深まった。これにより、本手法を利用した有機分子の革新的かつ多様な誘導体合成法やそれに向けた高効率的な触媒の開発が大幅に進むと考えられるため、今後の機能性有機分子およびその開発のための化合物ライブラリーの迅速な創成に役立つと期待できる。