研究課題
本研究では、「細胞分裂」を研究対象とするシステムにおき、その要素プロセスである「核の中央化」「染色体分配(紡錘体伸長)」「細胞質分裂」についてこれまで報告者らが構築してきた数理モデルを統合し、細胞分裂システム全体を対象とする数理モデルを構築することを目的とする。これまでに「核の中央化」と「紡錘体伸長」を統合するモデルの構築を試みた。両プロセスにおいて、原動力を提供する微小管細胞骨格と細胞表層との相互作用の様式が違うことが、それぞれのプロセスを説明するのに必要であることを明らかにした。さらに、紡錘体の伸長において、複数のモデルの比較を行い、細胞の変形を行った際に、それぞれのモデルから予想される挙動が異なることを明らかにした。この予想に基づいて実験を行い、実験と理論の組み合わせによるモデルの峻別を現在進めている。また、「紡錘体伸長」に伴い細胞が伸長し「細胞質分裂」に至る過程についてのモデルの構築も行った。細胞分裂に伴う力の発生と分裂後の細胞配置を関連付けるモデルの構築にも成功した(論文投稿中)。
2: おおむね順調に進展している
従来の「核の中央化」と「紡錘体伸長」のモデルでは、力発生の様式が異なる必要があることを明らかにした。さらに、紡錘体伸長のモデルを検証する実験を行った。「紡錘体伸長」と「細胞質分裂」における細胞配置の関係についても数理モデルを構築し、各種変異体を用いた検証実験を行い分子メカニズムも明らかにした。
H28年度までに明らかにした結果を論文にまとめ発表を行う。この過程で必要性が生じた解析を順次行う。
既存の設備の利用などにより設備費を節約することができた。この分、技術補佐員を予定より前倒しで雇用してデータの取得を行っている。この技術補佐員も最終年度も継続して雇用するために次年度に予算を残すことにした。
技術補佐員を雇用し、データ取得を向上させるために使用する。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
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https://www.nig.ac.jp/nig/ja/research/organization-top/laboratories/kimura