研究課題/領域番号 |
15KT0086
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
米村 重信 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 教授 (60192811)
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研究分担者 |
柴田 達夫 国立研究開発法人理化学研究所, 生命システム研究センター, チームリーダー (10359888)
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研究期間 (年度) |
2015-07-10 – 2018-03-31
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キーワード | 上皮極性 / 数理解析 / siRNAスクリーニング |
研究実績の概要 |
上皮極性に関与するタンパクの細胞内分布の定量については、浮遊培養したR2/7細胞について蛍光交代法を施し、共焦点顕微鏡で細胞全体の光学的切片画像を取得して基本的なデータとした。その後ImageJを用いて、立体像を構築、アピカル/ベイサル軸を通る8つの断面を作り、細胞表層における各タンパクの輝度を縦軸、アピカル極からベイサル極までの距離を横軸としてプロットすることでそれぞれの分布の特性を明らかにすることができた。アピカルマーカー、ベイサルマーカー、その境界のマーカー全ては境界付近に輝度のピークがあったが、ピークの位置はアピカル、境界、ベイサルマーカーの順にアピカル方向から並んでいた。この分布と極性の維持との関係について数理的な解析を開始した。 上皮極性に関与する遺伝子をゲノムワイドのsiRNAスクリーニングによって明らかにしようとしているが、当該年度においては、その実験条件の確立に力を注いだ。384ウェルプレートにR2/7細胞を培養し、siRNAによるノックダウン処理を行い、細胞を固定、染色することで極性の異常を検出しようとしている。何を可視化し、可視化されたもののうちの何を比較するのが良いのかを試行錯誤によって明らかにしていった。また、画像解析によって多量のウェルの情報を素早く定量的に比較できるということを前提として条件を探った。その結果、境界マーカーであるZO-1の染色と細胞質全体としてGAPDHの染色を同時に行い、ZO-1のリング状の染色が広がっていればアピカルが拡大しており、狭くなっていればアピカルが縮小しているとみなすことにした。今後、全体のスクリーニングを行う前に少数のプレートを使ったパイロット実験によって条件の微調整を行ったのちにスクリーニングを行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞におけるマーカーの分布については基本的なデータは得られたが、実験的に極性を乱した例については遅れている。また、siRNAスクリーニングの条件検討は当初の予想よりも時間がかかったが、その分、確実性の高いやり方に到達しつつあると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
マーカーの分布については極性を乱した例のデータも揃えて、数理解析の基盤にし、数理解析からの予想を実験的に検証するようにしたい。siRNAスクリーニングはH29年度の前半にはデータを取り終えたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
siRNAスクリーングのためにかなりの金額を支出する予定であったが、そのための条件設定に予想外の時間がかかり、スクリーニングに入るのが遅れているため。
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次年度使用額の使用計画 |
siRNAスクリーニングの条件がほぼ決まったので、次年度には実施でき、それに要する費用を支出する。
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