研究課題
本研究では、前年度までの小胞体ストレスシグナルを制御するmicroRNAの病態生理学的意義に関する研究に加え、腎臓におけるSIRT1(ヒストン脱アセチル化酵素で酵母の長寿遺伝子Sir2のヒト相同遺伝子)のエピゲノム活性による病態生理学的意義の解明を目指しポドサイト特異的SIRT1欠損マウスを用いた実験で行った。その結果、糸球体ポドサイトにおけるSIRT1のエピゲノム活性の標的分子を同定することはできなかったが、興味深いことに、ポドサイト機能(糸球体濾過機能)を担うアクチン細胞骨格の重合・安定性にはコータクチン(cortactin、アクチンに結合する細胞骨格関連分子)のSIRT1による脱アセチル化が重要であることや、SIRT1-cortactin-actin経路の破綻はポドサイトの機能的形態障害、ひいては蛋白尿の原因になることなどを明らかにしてきた。さらにコータクチン欠損マウスを用いて糸球体ポドサイトのコータクチンの役割を検討したところ、コータクチン欠損マウス単離糸球体から樹立した初代培養ポドサイトは、正常マウス由来初代培養ポドサイトに比し、細胞増殖レベルに差はないもののアクチンの重合程度は有意に低下しており、それに伴って細胞膜の流動性や運動性の亢進が認められた。更に興味深いことに、コータクチン欠損マウスに糸球体腎炎(抗糸球体基底膜抗体投与)を誘導すると、正常マウスに比し、ポドサイト障害が著明に軽減することがわかった。コータクチン欠損によるSIRT1-cortactin-actin経路の破綻はポドサイト障害が亢進すると推測したが、これら予想に反する結果から、何らかの遺伝子が代償性に発現亢進している可能性や、ポドサイト膜流動性がポドサイトの機能的形態障害の修復に重要である可能性などが考えられた。
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