研究課題/領域番号 |
15KT0089
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高井 ゆかり 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00404921)
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研究分担者 |
深堀 浩樹 東京医科歯科大学, 保健衛生学研究科, 准教授 (30381916)
松浦 志野 上智大学, 公私立大学の部局等, 助教 (80712679)
山本 則子 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90280924)
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研究期間 (年度) |
2015-07-10 – 2019-03-31
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キーワード | 看取り / 事例研究 / 老い / 死生観 / メタ統合 |
研究実績の概要 |
本研究は、在宅看取りの事例研究を行うために、在宅療養を希望する高齢者自身やその家族、ならびに訪問看護師などの在宅ケア専門職者、医療・介護施設から在宅看取りへ支援したソーシャルワーカー、医師等の専門職者を対象としたインタビューからのデータ収集を行い、事例毎のまとめを行う。その複数の事例とインタビュー内容を詳細に比較、検討し統合し、在宅看取りを可能にする暗黙知を探り出し、今後在宅看取りが希望に応じて拡張できるよう、概念化して提示する。そのため本研究では、4年計画にて①専門職者へのインタビューと事例研究、②高齢者やその家族へのインタビュー、③遺族へのインタビュー、④以上①~③の知見及び先行研究の結果とのメタ統合を行う。 平成27年度は、上記①専門職者へのインタビューと事例研究、②高齢者やその家族へのインタビュー、③遺族へのインタビューを実施するために以下を行った。研究者間でのディスカッションを通し、インタビューガイドを作成した。研究を実施するために倫理審査の申請を行い承認を得た。また、複数の病院や訪問看護ステーションなどに研究参加依頼を行い、承認を得た後、インタビューを行うための調整及びインタビューを実施した。今後、複数事例のインタビューを実施していく予定である。また、研究計画の立案及び、本邦の事例との比較を行うために、海外の緩和ケア病棟並びに高齢者介護施設の見学、及びそこで働くスタッフへの聞き取り調査を行った。そこでは、スタッフが患者の意向を最大限尊重しそれをかなえるためのシステムの構築を行っていた。例えば、患者の意向を尊重し、退所後も今までどおりの生活が可能となるように、入所中も買い物や料理等の身の回りのことを自分で行えるような支援、工夫を行っていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
看取り事例に関する研究であるため、その計画並びに倫理審査申請に際し細心の注意を払う必要があり、時間を要した。また、患者やその家族、並びに施設のスタッフを対象とした看取りに関する研究であるため、施設において参加協力依頼や調整を行うことに時間を要している。しかし、余裕を持った計画を立案しているため、今後調整は可能であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後3年間を通し、複数の事例研究の実施及び、インタビューを行う予定である。最終年では、知見の統合を行う予定である。看取りを題材にした研究であるため、研究対象者に不利益のないよう十分に配慮する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は高齢者の看取りに関する事例研究であり、慎重に進めていく必要がある。そのため当該年度では研究の具体案立案のための情報収集及び計画立案、倫理審査の実施、施設依頼や研究実施のための調整等、研究実施のための準備に時間を必要とした。研究参加予定者と研究実施の説明や調整を密に行う必要があり、計画していたインタビューを延期する必要性も有した。そのため、逐語録の作成や旅費に使用予定であった研究費について残高が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
28年度以降も、現在調整中の施設等において事例研究を実施していく。また、27年度の実績を元に事例研究への参加協力施設のリクルートを継続していく。事例研究やインタビューを実施するに際し、研究者間で密に連絡を取り、プロセスや結果の共有等の調整を行いながら実施する必要がある。
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