研究課題/領域番号 |
15KT0102
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
田島 慎一 筑波大学, 数理物質系, 教授 (70155076)
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研究分担者 |
小原 功任 金沢大学, 数物科学系, 准教授 (00313635)
照井 章 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (80323260)
渋田 敬史 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 助教 (40648200)
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研究期間 (年度) |
2015-07-10 – 2018-03-31
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キーワード | アルゴリズム / 局所コホモロジー / multiplicity / D-加群 / 多変数留数 |
研究実績の概要 |
機械学習モデルの特異統計構造の解析と代数解析アルゴリズムの研究・開発に関する研究を行った。2015年秋に東京電機大学において, 本研究の構成員と若手研究者が一同に集まり, 代表者が本研究と関連する研究成果の紹介をした後, 27年度の研究目標, 方法等について討議し, 具体的な研究計画を組んだ. 27年度は, 特異性解析において重要な諸量を求める計算法に関する研究を行った。主な研究対象は, semi-algebraic set の stratification, イデアルの重複度, 多変数留数計算とネター作用素である. 27年度の具体的な研究成果を挙げると, (i) イデアルのreductionとSamuel multiplicity を求めるアルゴリズム, (ii) 可環環論における Matlis 双対性と局所コホモロジーの概念を組み合わせることで, 加群に対する standard 基底を求めるアルゴリズム, (iii) 行列の最小消去多項式を用いることで, 整数もしくは有理数を成分とうる正方行列の逆行列を効率的に求める並列算法, (iv) イデアルが shape 基底を持つ場合に, 偏微分作用素環におけるホロノミーD-加群と Stetter の固有値法を組み合わせることで, Grothendieck local residues を効率的に求めるアルゴリズム, (v) Poincare-Birkhoff-Witt 代数におけるグレブナ基底の概念を用いることで, 超曲面に付随するD-加群を求めるアルゴリズムを構成した。 これらの研究成果の多くは, 計算代数分野の研究集会等において口頭発表した。執筆した論文は, 京都大学数理解析研究所講究録に掲載されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
27年度は, 主に, 複素領域における特異性解析を行うためのアルゴリズムの研究・開発を行ってきた。導出したアルゴリズムのうちのいくつかについてはプログラムを作成し数式処理システムに実装, 改良を加えることができた。特に, 多変数留数計算アルゴリズム, Poincare-Birkhoff-Witt 代数のおけるグレブナ基底を求めるアルゴリズムを実装することができたことは本研究を進めるうえで意義が大きい。また, Samuel multiplicity を求める計算法を得たことは, 計算代数分野の観点からも重要と考えられる。他方, Semi algebraic set の特異性解析に関する研究をすすめたが, 発表すべき研究成果を挙げるには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
27年度に行った研究をさらに進展させる。特に, Semi algebraic set の研究を推進させる。日程調整を行い, 28年度のなるたけ早い時期に研究代表者, 分担者, 連携研究者が一同に集まり, 27年度の研究グループ毎の研究成果の説明を行い, グループ間での研究討議を行い, 今後の研究の実施について具体的な計画についての相談等を行う。研究代表者, 分担者が互いに出張し研究連絡を取り合い, 本研究を遂行する。また, 国内外で開催される学会, 研究集会等において研究討議を行い, 研究成果を発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究連絡のための出張を3月に予定していたが, 実施を次年度に見送ったことと, 購入を予定していた研究資料の購入を次年度に見送ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
28年度の早い時期に27年度に実施を予定していた研究連絡を行うために出張する。また, 6月頃, 27年度に購入を見送った研究資料を購入する予定である。
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