研究課題/領域番号 |
15KT0109
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
張 景耀 名古屋市立大学, 大学院芸術工学研究科, 准教授 (50546736)
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研究分担者 |
寒野 善博 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (10378812)
谷川 眞一 京都大学, 数理解析研究所, 助教 (30623540)
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研究期間 (年度) |
2015-07-10 – 2018-03-31
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キーワード | テンセグリティ / 安定性 / 組合せ的特徴付け |
研究実績の概要 |
テンセグリティとは、圧縮力を受ける棒材と引張力を受けるケーブルで構成される構造物である。テンセグリティに潜んでいる特有な力学特性および数学原理は、多岐にわたる分野において幅広く応用されている。 テンセグリティは、super-stableにならない場合に、多重安定性をもつ可能性がある。張は、フォーストラット星形テンセグリティ構造の多重安定挙動への影響因子について3つのパラメータ、初期軸力密度、ケーブルの剛性、高さ半径の比を変化させることにより多重安定挙動の変化を考察した。その中でも、初期軸力密度が最も重要なパラメータである。 実際のテンセグリティの設計においては,圧縮材の自重の影響が無視できない。そこで、寒野は自重を考慮したテンセグリティの最適設計の基礎的な検討として、トラスに対する手法を開発した。また、大規模なテンセグリティ構造の釣合い解析に対する数値手法を開発するための基礎的な検討として、大規模弾塑性トラスに対する手法を開発した。 多面体の剛性は、剛性理論において最も重要な研究課題の一つである。Cauchyの剛性定理によって、単体的凸多面体は剛であることは広く知られている。一方で、一般的な単体的凸多面体は大域剛にならないことがHendricksonによって指摘されていた。ここで、谷川は単体的凸多面体に蝶番を追加した構造を考え、大域剛性のための必要十分条件を導出した。さらに、そのような構造のグラフが超安定テンセグリティとして常に実現可能であることを証明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
張は、フォーストラット星形テンセグリティ構造の多重安定挙動への影響因子について3つのパラメータ、初期軸力密度、ケーブルの剛性、高さ半径の比を変化させることにより多重安定挙動の変化を考察した。 寒野は、寒野は自重を考慮したテンセグリティの最適設計の基礎的な検討として、トラスに対する手法を開発した。また、大規模なテンセグリティ構造の釣合い解析に対する数値手法を開発するための基礎的な検討として、大規模弾塑性トラスに対する手法を開発した。 谷川は、単体的凸多面体に蝶番を追加した構造を考え、大域剛性のための必要十分条件を導出した。さらに、そのような構造のグラフが超安定テンセグリティとして常に実現可能であることを証明した。
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今後の研究の推進方策 |
張は、二面体群対称性のあるprismaticテンセグリティに対して、super-stableになる必要十分条件を誘導し、完全な証明を与える予定である。また、同じく二面体群対称性および多軌道節点のあるstar-shapedテンセグリティに対して、そのsuper-stableにかかわる軸力密度行列のブロック対角化に関する解析的手法を検討する。 寒野は、前年度で開発した最適設計手法をテンセグリティに適用し、新しい位相のある構造物の創出に試みる。 谷川は、特定種類のテンセグリティの安定性に関する成果について分析し、その組合せ的特徴付けを推測する。また、剛性理論よりこの推測の証明に試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた国際会議への参加を、日程が合わなかったため、見送りした。
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次年度使用額の使用計画 |
国際会議や専用ソフトなどに使用する予定である。
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