研究課題/領域番号 |
15KT0118
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
内記 香子 大阪大学, 国際公共政策研究科, 准教授 (90313064)
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研究期間 (年度) |
2015-07-10 – 2019-03-31
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キーワード | エコラベル / 認証制度 / プラベート・レジーム / 持続可能性 / 漁業認証 |
研究実績の概要 |
本年度は2つのことを行った。まず研究発表として、「エコラベルと国際通商─持続可能な消費と生産を考える─」『富の共有と公共政策(大槻恒裕編)』(大阪大学出版会、2018年)を執筆し、エコラベルの普及と問題点について学生向けの教科書の1章分として公表することができた。また、学会発表を“Sustainability, Certification Programs, and the Legacy of the Tokyo 2020 Olympics” (co-author with Isao Sakaguchi) in Consumers’ Perceptions of Food Attributes (S. Matsumoto & T. Otsuki eds.) (forthcoming, CRC 2018)としてまとめ、本年度は校正段階まで進めることができた。 次に昨年度にひきつづき、具体的な事例研究としてベトナムを取り上げ、ベトナムにおける持続可能な水産物に関するエコラベルの競争と乱立状況についての調査を行った。特に欧州が起源のGLOBALG.A.P.とAquaculture Stewardship Councilの2つのエコラベルの仕組みや普及状況について調査を行った。課題として明らかになった点としては、ベトナム現地の養殖業者が、欧州に輸出をする際に、この2つのエコラベルをどのような理由で選択しているのか、という動機と背景の調査が必要となったことである。すなわち、2つのエコラベルの仕組みの違いを現地の業者が理解しているのか、あるいは業者間のビジネスネットワークによるものなのか、という事情の違いによって、エコラベル間の競争と乱立が本質的に問題化しているかどうかを検討する手がかりになることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果の公表が進行していることと、事例研究としてベトナムでのエコラベルの競争と乱立状況について調査が進んでいることから、概ね順調であると評価でできる。
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今後の研究の推進方策 |
研究の最終年度であるので、ベトナムの事例研究を完成に近づけることが目標となる。これまで調査できたGLOBALG.A.P.とAquaculture Stewardship Councilの2つのエコラベルに加えて、米国中心に展開しているBest Aquaculture Practices というラベルの仕組みや普及状況を調査する必要がある。また課題として明らかになった、ベトナムの現地の養殖業者のラベル選択の動機と背景について、より具体的に現地調査を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
概ね順調に使用したが未使用額が少し生じてしまった。未使用額は、30年度分とあわせて調査旅費に使用する予定である。
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