本年度は、昨年度から1年間期間を延長して研究をおこなったが、残っていたインタビュー調査を完了することができた。 まず、2012年のロンドンオリンピックにおける食の持続可能性の担当者にインタビューすることができた。持続可能性に関する政策を決定することよりも、実際にそれを実施する段階の問題が大きかったことが分かった。具体的には、料理を提供するケータリング会社の実行能力が重要であることが明らかになった。 そしてISEALの中でもアジアにおける認証制度の普及に関わっている担当者にインタビューすることができた。特に中国に関して話を聞くことができたが、中国政府の政策と、欧州アクターの関わりという点から中国における持続可能性をめぐるダイナミズムを明らかにする必要性を実感した。 本年度は、残された研究費も少額であったのでこのインタビューを行ったところで研究は終了となったが、次の研究につなげていきたい。具体的には、ロンドンオリンピックの経験が、どのような示唆を東京オリンピックに与えるのか、両者の決定・実施プロセスの比較研究が可能であろう。また本研究では、水産物に注目した分析を行ってきたが、水産物という分野とパラレルで他の分野にどのような波及効果があるかについても検討していきたい。とりわけ、認証制度のインパクトの測り方が問われており、持続可能性に関わる施策をとったことで実際にどのような経済的・環境上のインパクトがあったのかについても調査する必要があることが今後の課題として分かった。
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