研究課題/領域番号 |
15KT0120
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
中川 啓 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 教授 (90315135)
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研究分担者 |
渡辺 貴史 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 教授 (50435468)
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研究期間 (年度) |
2015-07-10 – 2018-03-31
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キーワード | 硝酸性窒素 / 地下水汚染 / 窒素負荷ポテンシャル / GIS(地理情報システム) |
研究実績の概要 |
課題Iでは、地下水と土壌をサンプリングする特定の地域を決定し、平成29年4月から1年間、継続的にサンプリングを行った(地下水は毎月、土壌は隔月)。地下水試料の分析により、主要イオンの変化について明らかにした。また土壌試料は、水抽出により降雨で容易に洗い出される成分と、その残渣に対して交換性の成分を抽出した。その結果、硝酸性窒素については、汚染源近傍と考えられる山側の地点において、7月を除くと、20~30 mg/Lの範囲で変化した。7月の濃度低下は、梅雨時期の降雨による希釈のためと考えられる。この地点近傍の表層土壌のアンモニアイオン濃度は、春から冬にかけて増加する傾向にあった。この地点近くの旧蒸散処理施設内における濃度は、35~45 mg/Lの高濃度で推移した。これらの地点の下流側の地点においては、基準値は満たしているものの、6~8 mg/Lと、比較的高濃度で推移していることが分かった。これらの結果は、今後、ステークホルダーが参加する会議の場で説明し、適切な対策を講ずることができるように活用したい。 課題Ⅱでは、窒素負荷低減に向けた長崎県の取り組みを、ヒアリングから明らかにした。主要な成果は、次の3点である。1)窒素負荷低減に係る対策は、島原半島窒素負荷低減対策会議の構成員の連携により進められている。同会議の設定は、事業者の自律的な対策の推進に寄与している。しかしながら依然として住民からの苦情がみられ、家畜排せつ物の管理に資する実効性ある事業者の監視が課題となっている。2)窒素負荷低減に向けた住民参加は、推進に向けた働きかけが行われているが、窒素負荷低減を直接の目的とした活動は確認されていない。3)窒素負荷低減に向けた主要な課題は、環境基準の達成率以外の成果指標の設定、窒素負荷低減と産業振興とのバランス、窒素負荷低減の最終的な到達点に対する社会の合意形成が挙げられた。
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