研究課題/領域番号 |
15KT0125
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 特設分野 |
研究分野 |
紛争研究
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研究機関 | 島根大学 (2018-2019) 島根県立大学 (2016-2017) 東北大学 (2015) |
研究代表者 |
前田 しほ 島根大学, 学術研究院人文社会科学系, 准教授 (70455616)
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研究期間 (年度) |
2015-07-10 – 2020-03-31
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キーワード | 記念碑 / ソ連 / 戦争記憶 / プロパガンダ / 愛国主義 / ロシア / イメージ / ナショナル・アイデンティティ |
研究成果の概要 |
旧ソ連の独ソ戦の記念碑を中心に戦争記憶を調査し、文化史的視座から旧ソ連諸国の愛国主義のメカニズムを分析・考察することを目的とする。敗戦国である日本にとって、戦勝国の戦後イデオロギーは理解しがたい。総力戦の栄光の勝利の記憶は、ナショナル・アイデンティティの基盤である。そして、ソ連の愛国主義プロパガンダの戦略は、後継国家であるロシアをはじめ、中国・北朝鮮・モンゴルなど、北東アジア地域一帯に影響を及ぼしており、ソ連の戦争についての記憶研究を充実させることが肝要だ。このような観点に基づき、旧ソ連全体を調査対象として、今日残っているソ連の戦争記念碑と、ソ連崩壊後に造られた戦争記憶を広く収集した。
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自由記述の分野 |
ロシア文学文化
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
以前からの調査も合わせ、旧ソ連15か国全てに対して、現地調査・資料収集に入ることができた。特に戦争記念碑の実態を確認し、写真撮影をして、記録した。こうした包括的な調査は世界に例がなく、ソ連崩壊以降の撤去・再建のため、姿を消しつつある戦争記憶を記録した点で、史料としての価値が高い。ソ連の記念碑のコンセプト・技術は旧・現社会主義圏にも広がっており、それらの地域への調査を行うことで、広域な地域を比較検討する材料を揃えた。さらに、戦争記念碑の「想像の共同体」形成への寄与の在り方、地域性や様式の現地化を検討することで、新たな理論的枠組みを構築し、日本社会に異文化理解の足掛かりを提供しうるものである。
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