最近、酵素反応における遷移状態の形成には酵素のグローバルな構造変化が必要であり、これが触媒反応の律速段階となることが明らかとなってきた。そこで本研究では、バイオエネルギー生産に重要な酵素AARとADOをモデルとして用い、分子動力学シミュレーション(理論)とNMR緩和測定(実験)によって酵素の構造揺らぎを検出した。次に、酵素の構造揺らぎを制御する上で重要なアミノ酸残基を探索し、それらの部位に変異を導入することにより、酵素の遷移状態を制御可能なことを示した。また、600個以上の変異体を作製する網羅的な変異解析により、両酵素の活性を制御する上で重要な残基の同定に成功した。
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