研究課題
小胞体は,チューブ状構造とシート状構造が複雑に組み合わさり,細胞内でひと続きのネットワークを形成している.この特徴的なネットワークは真核生物に広く保存されており,これに異常を持つ植物は細胞伸長が悪く,植物の小型化や稔性の低下を示すものが多いことから,小胞体の多機能性はその形態と密接に関連していると考えられる.しかし,動物細胞で小胞体シート状構造の形成に関わるとされる重要な因子が植物細胞に保存されていないなど,植物細胞の小胞体形態形成における分子機構は未解明な部分が多い.そこで,小胞体の形態形成に関わる新たな因子を探索したところ,2つのタンパク質ファミリーのシロイヌナズナ変異体で小胞体ネットワーク構造に異常が観察された.これらのタンパク質の細胞内局在を解析したところ,いずれも小胞体膜タンパク質であることが確認された.これらのタンパク質ファミリーの機能が互いに関連するかどうかを調べるために,現在多重変異体の作製を進めている.一方,細胞内から取り出した小胞体の小さな断片は,適切な条件下で静置すると融合を繰り返し,数分から数十分で自己組織化されてin vitroでネットワークを再構成することができる.今回同定した新規小胞体膜タンパク質が小胞体ネットワーク形成においてどのような役割を果たしているかを明らかにするために,これらの変異体から小胞体画分を調製して,in vitro 再構築系を利用した解析を進めている.
2: おおむね順調に進展している
概ね計画に沿って進めているため.
当初の計画に沿って推進する予定である.
一部の実験に計画より時間を要し,次の実験に使用する物品をH28年度に購入することにしたため.
当初の研究計画と内容は変わらないため,H27年度に購入する予定であった試薬・プラスチック器具等を購入する.
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)
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