本研究は,細胞分裂時に現れる紡錘体の形成・維持の仕組みをモデルとして,個々の分子の数のゆらぎと,全体の構造の高い安定性・再現性との間のギャップを埋め,生物特有の安定かつ動的な構造・ネットワークを自己組織的に形成するための素子の設計原理を知ることを目的とした研究である.途中,研究計画の変更を行い,分子数に応じて運動方向性が逆転することが知られているkinesin-5に焦点を絞り,これが微小管を集団で架橋しながら運動する現象を研究対象とした.その結果,DNAナノ構造体を用いてkinesin-5を集積した複数多分子複合体の作製に成功し,運動方向の逆転と分子数の間の関係を研究することが可能になった.
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