研究課題/領域番号 |
16001002
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
徳宿 克夫 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (80207547)
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研究分担者 |
山崎 祐司 大学共同利用機関法人, 高エネルギー加速器研究機構・素粒子原子核研究所, 助手 (00311126)
浜津 良輔 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (20087092)
久世 正弘 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (00225153)
山田 作衛 大学共同利用機関法人, 高エネルギー加速器研究機構・素粒子原子核研究所, 名誉教授 (70011658)
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キーワード | 偏極電子・陽子衝突実験 / 素粒子 / 加速器 / 標準模型 / 新粒子探索 / 左右非対称性 / 量子色力学 / 回折反応 |
研究概要 |
平成16年8月まで偏極陽電子・陽子衝突実験を行った後、10月から偏極電子・陽子衝突に切り替えて、年度終わりまで実験を進めた。実験の現場であるドイツハンブルグ市のDESY研究所に必要人員を派遣し、測定器の運転と較正、データの解析を行った。 日本でのデータ解析の拠点として東京工業大学に小規模の解析用設備を整えた。DESYに現有する解析サーバの機種の部分入替えを行い、計算能力の向上をはかった。 日本グループが担当責任を持つ測定器は順当に稼動している。初段トリガー回路(山崎)、シリコン飛跡検出器(徳宿)、シリコン粒子識別装置を含むカロリメータ(久世)、電子偏極度測定装置(浜津)それぞれに関して、測定器の性能をモニターするシステムの改善を進めた。 8月までに、収集した、偏極陽電子・陽子反応から荷電流反応の断面積の測定を進め、暫定結果を8月の国際会議で発表し、現在投稿論文の最終準備段階に入っている。陽電子の偏極度と共に荷電流反応断面積が変化することを示し、この高いエネルギーで標準模型の左右非対称性を実験的に検証することができた。今後収集する電子・陽子衝突のデータも合わせて解析することで新相互作用の探索を進める。 過去に収集した無偏極衝突のデータの解析も進んだ。特に我々が進めていた回折反応でのジェット生成に関して断面積の暫定結果を出し、国際会議で発表した。電子・陽子衝突と陽子・陽子衝突での回折反応断面積の大きさには大きな違いがあることがわかっており、それを量子色力学を基にして説明する理論が提唱されている。しかし、我々の光子・陽子回折反応でのジェット断面積の測定結果はそれらの理論では説明できず、新たなモデルが必要であることを示した。
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