研究課題
本年度末までで、偏極電子・陽子衝突および偏極陽電子・陽子衝突のデータ収集を完了した。積算ルミノシティの総量はそれぞれ190pb^<-1>、182pb-^<1>となった。これは2000年以前に無偏極で得られたデータの総量で約4倍になり、加速器の高輝度運転の成果である。特に電子・陽子衝突データ量は10倍以上にできた。今後、加速器停止の平成19年7月初めまでの最後の3か月は陽子のエネルギーを下げた実験を行う。日本グループが担当責任を持つ測定器は順当に稼動している。初段トリガー回路(山崎、長野)、シリコン飛跡検出器(徳宿)、シリコン粒子識別装置を含むカロリメータ(久世)、電子偏極度測定装置(浜津)それぞれに関して、測定器の性能をモニターするシステムの改善を進めた。5月に、国際ワークショップ「DIS2007」を茨城県つくば市に於いて開催し、国内外から241人の参加者を集めて、これまでに得られた実験結果の発表と今後の方針の議論を進めた。この会議の結果をプロシーディングスにまとめて、1月末に出版した。上記のエネルギーを下げて行う実験の重要性が確認でき、日本のグループはこの実験推進の中核を担うこととした。また、平成19年末に予備実験が始まるLHC実験と関連付けた物理解析も重要であり、今後よりこの実験との連携を深める。前年度の荷電流反応の断面積測定に引き続き、中性流反応の断面積測定を進めた。電子が編極していることにより、高いQ^2領域で、Zボソン交換の効果をより顕著に見ることができ、Zボソンと軽いクォークの結合定数を精度よく求め、標準模型と無矛盾であることを示した。陽子内部のパートン分布の決定でも、前年に引き続き広い範囲の運動領域で精度をあげられつつある。新粒子の探索では、レプトン対に崩壊する粒子、ニュートリノと光子に崩壊する粒子等の研究、ペンタクォークの探索等を、前年度から継続して進めている。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (8件) 図書 (1件)
Nuclear Physics B767
ページ: 1-28
The European Physical Journal C49
ページ: 523-544
ページ: 511-522
Nuclear Physics B765
ページ: 1-30
The European Physical Journal C50
ページ: 269-281
ページ: 299-314
ページ: 283-297
Physics Letters B637
ページ: 210-222