研究課題/領域番号 |
16001002
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
徳宿 克夫 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (80207547)
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研究分担者 |
山崎 祐司 神戸大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (00311126)
長野 邦浩 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教 (90391705)
浜津 良輔 首都大学東京, 客員准教授 (20087092)
久世 正弘 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (00225153)
山田 作衛 高エネルギー加速器研究機構, 名誉教授 (70011658)
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キーワード | 偏極電子・陽子働突実験 / 素粒子 / 加速器 / 標準模型 / 新粒子探索 / 左右非対称性 / 量子色力学 |
研究概要 |
本年度6月末で、データ収集を完了した。日本グループが担当責任を持つ測定器は実験の終わりまで順調に稼働した。初段トリガー回路(山崎、長野)、シリコン飛跡検出器(徳宿)、シリコン粒子識別装置を含むカロリメータ(久世)、電子偏極度測定装置(浜津)それぞれに関して、測定器の運転・較正を行った。積算ルミノシティの総量は偏極電子・陽子衝突および偏極陽電子・陽子衝突のそれぞれ190pb^<-1>、182pb^<-1>となった。これは2000年以前に無偏極で得られたデータの総量で約4倍になり、HERA加速器の高輝度運転の成果である。特に電子・陽子衝突データ量は10倍以上にできた。 これらのデータに加えて、実験の最後には陽子ビームのエネルギーを下げた実験を行なった。異なる重心系のデータを比較することにより、縦方向構造関数(F_L)を得ることができる。HERAのエネルギー領域では、F_Lは陽子内部のグルーオンの振る舞いを反映するため、これまでF_2のスケール則の破れ具合から求めてきたグルーオンの分布を検証することができ、さらに、量子色力学の検証につながる。F_lの解析は順調に進み、部分的なデータを使って、2008年春の国際会議で暫定結果を発表することができた。まだ誤差が大きいが、量子色力学の予想と矛盾ない値が得られた。今後、より多くのデータを使うことで、さらに精密な検証を進める。 平成20年に運転が始まるLHC実験と関連付けた物理解析にも着手し、HERAで求めた陽子内部のクォーク・グルーオン分布をLHCでさらに詳しく検証する手法を検討した。 前年度までに引き続き、荷電流反応と中性流反応の断面積測定を進めた。実験で得たすべてのデータを使った最終結果としてまとめたいので、公表には至っていないが、細かな系統誤差の最終確認を進めている。新粒子の探索では、レプトン対特にタウ対に崩壊する粒子とペンタクォークの探索を、前年度から継続して進めている。
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