研究課題/領域番号 |
16001003
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
桜井 弘 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (30065916)
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研究分担者 |
安井 裕之 京都薬科大学, 薬学部, 助教授 (20278443)
吉川 豊 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (20388028)
廣村 信 京都薬科大学, 薬学部, PD (30411036)
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キーワード | 糖尿病治療 / メタボリックシンドローム / バナジウム錯体 / 亜鉛錯体 / インスリン様作用 / 血糖降下作用 / ドラッグデリバリー系 / ポルフィリン錯体 |
研究概要 |
最近、わが国や欧米諸国で子供や青少年の糖尿病が1型から2型へ急激に移行していることが報じられている。運動不足や過食そしてストレスなどの生活習慣の変化が、2型糖尿病の発症に深くかかわっているものと考えられる。インスリンの絶対的(1型)および相対的(2型)不足にもとづく疾患としての糖尿病の治療には、それぞれインスリン注射かもしくは運動、食事療法と合成薬剤の投与がある。インスリン注射は肉体的・精神的苦痛を伴い、一方、合成薬剤は重い副作用を発現するなどの厳しい問題がある。我々は、インスリン注射に代わりうる化合物として、経口投与により有効なバナジル(オキソバナジウム(IV))錯体を1990年に、またジンク(亜鉛(II))錯体を2002年に見出し、それ以来多数の錯体を合成し、基礎的研究を積み上げてきた。 本特別推進研究の最終年にあたる本年度は、昨年の成果を基盤に、バナジル-3-ヒドロキシピロネート(VO(3hp)_2)およびジンク-3-ヒドロキシピロネート(Zn(3hp)_2)錯体について構造活性相関性を研究した。これらの中からジンク-チオアリキシン-N-メチル(Zn(tanm)_2)錯体は、1型および2型実験糖尿病動物の糖尿病をほぼ完全に治癒するのみならず、最近わが国において社会的にも問題とされている肥満、高脂血症や高血圧などからなるメタボリックシンドロームを改善できることを見出した。このような高活性、多機能を有する錯体は、世界で初めての発見である。一方、全く異なった構造を持つ錯体としてバナジル-ポルフィリンやバナジル-ポリガンマグルタメート錯体も開発し、両錯体はインスリン注射に代わりうる一日一回の経口投与で1型糖尿病を治癒できることを見出した。特に、後者は新しいドラッグデリバリーシステムとして提案された。
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